音楽教室運営奮闘記

音楽と教育と経営の雑記ブログ~不定調性論からの展開

言葉の意味の向こう側を見る~ユーミン歌詞・コード考57

ユーミンの不定調性コード進行研究

ユーミン歌詞・コード考 / アルバム「Cowgirl Dreamin'」

 

 

ありのままを抱きしめて
「ねえ 笑って ねえ 笑ってよ ねえ
そして もう一度 私を殺してよ」

ユーミンの歌詞の中についての死についての着想については、他のページでも触れています。

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恋愛や人生はどうなるか分かりませんが、死は決まっています。
先の見えないことへの不安から歌を作ったり、思いを歌ったりするわけですが、人生どんなに苦労しても努力しても、死だけは避けられません。

未来が定まらない想い(恋愛、人生)と、定まったものへの想い(死、季節の巡り)。

 

大きな宇宙の巡りの外側から見た恋愛と、恋愛の中から見た恋愛、という視点の違い。

===

 

Cowgirl Blues
「きみのファウンデーションと口紅が5時の空を染めてる」

 

別れのビギン
「心止めて さあ別れを さあ始めましょう
それがたった数分のあいだでも 永遠の物語
愛された微笑みが 花のように散っている
残されたため息に くるくると回って」

 

メロディに9thが印象的に使われています。
これもやはり「9thってこういう響きがする」というのを知っていないと出てこない。

 

9thの響きにはルートに対して鋭いですが、5度音に極めて協和する音。

浮気者のように感じられる音です。

この性格をエッセンスにしていろいろな歌詞やコードの流れに用いると、その歌詞のメッセージや響きの印象が聴き手に様々なイマジネーションを与えるのではないか、そんなふうにも感じます。

 

 

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忘れかけたあなたへのメリークリスマス
「水色の包装紙に染まった街を ただぼんやり見てる 空っぽのイヴの午後
もうすぐ数えきれないシンデレラと 迎えに来る馬車であふれる交差点
たかが冬の一日じゃない べつにどうってことないじゃない
誰が決めたの 今日に決めたの」

 

(ユーミンレポートより)
Aメロ(アルバム収録タイム 0:25-)
B♭/C |A♭M7/C |B♭/C | Fm7/C Cm7 B♭/C A♭/C |
B♭/C |Cm7 |E♭m7(9)/A♭(A♭7sus4) | B♭m7(11) |
Bメロ
Gm7 A♭M7 |Gm7 Cm7 |
Gm7 A♭M7 |Gm7 Cm7 |
F |F |G |G |
サビ
A♭/B♭| B♭/C |A♭/B♭|Cm7 |
A♭/B♭| B♭/C |A♭/B♭|Cm7 |
浮遊感溢れる楽曲。

聴取したコードは実に多解釈可能でこの通りだとは全然思えない。

 

長調と短調の狭間におかれた浮遊感のような印象の中で、冬の寒々しさ、クリスマスの世情に流されそうで、流れていかない、浮いてしまった主人公の心情のようなものを、冬の冷たい風に浮いてしまう足元、そんな印象を想起させる。

 

前半はベース音がcで統一されている。ベース音が統一されることで生まれる効果について考えれば、「世情は流れていくが、自分は追いついていけない、変化できない」歌詞の「Bye Bye may rainy Christmas水色の包装紙に染まった街をただぼんやり見てる 空っぽのイヴの午後」という表現と同期するのではないだろうか。

 

Midnight Train
「発車します 0番線から
プラネタリウムの各駅停車が」
「きみを目隠ししてる 孤独のトンネルを抜けて
きみが訪ねたかった 思い出の星散らばる海へ」

ビバップの雰囲気は、まるで夜の帳のようですし、地下鉄の中で繰り広げられる人間模様のよう。言葉にしようと思えばできるけど、してみると音楽以上には雄弁にならない。ジャズがインストゥルメンタルである大きな理由だと思います。

そういう意味でも実験的に感じますし、十分ポピュラーミュージックの裾野をこの一曲で拡張している、とも言える曲に感じました。

言葉の意味の向こう側を見る、という段階にかなり食い込んできてますよね。

 

最後の嘘
「上手に後悔するために 二人はひたすら黙り込む
ゆうべ散らかしたテーブルはそのままに
愛だけが流れ去り 今日は続く」
「最後だけ本当の嘘をついてよ きみが嫌いになったって」
「同じ気持ちじゃないのを知っていても
となりで眠っていた 私のため」

 

F# |F#M7 Bb7 |Ebm7 Ebm7/Db |BM7 Bm7/D |
BM7 Ebm7 |Db/F BM7 |

豪華。

 

 

 

 

カゥガール・ドリーミン/松任谷由実