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不定調性論からの展開紀行~音楽と教育と経営と健康と

その進行にしなければならないからその進行にする;ユーミンレポート52

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歌詞については掲載しておりませんので

https://www.uta-net.com/artist/2750/

こちら等にて確認ください。 

  輪舞曲(ロンド) open.spotify.com

クロッカスの花言葉には「愛したことを後悔する」というのがあるそうです。ギリシャ神話の悲恋の物語からきているようです。この花は野原にポン!と置かれた造花のような存在感があります。
フォルクローレとは、フォークロア「伝承」とか、という意味。その地に伝わるであろう美しき恋の物語、と言うような感じでしょうか。 

タピストリィはタペストリー「壁にかける刺繍の縫物」ですね。
なんだか象徴的な言葉が並んでいます。

語感が音楽していますね。 

 

ロンドというのは"ある同じ旋律(ロンド主題)が、異なる旋律を挟みながら何度も繰り返される楽曲の形式のこと。"とwikiにはあります。

主題と挿入部が繰り返し現れる形式です。繰り返される日常のこと、二人で紡ぐ昼夜のこと、そういったイメージを感じます。 

フィエスタとは、フェスタ、お祭りのことでしょうか。

 

人生の悲哀は、思い通りに行かないこと、ですね。
情熱的曲調が、炎を感じさせます。この炎は「歓び」であり、哀しみに吸い取られる運命にあります。いずれ悲しむと分かっていながらもその歓びに惹かれるのが人の心。

 

自分から足かせをはめるような誓いの言葉を口にするなら、幸せそのものとをくっつけるような足かせを探しなさい。その場の軽い気持ちなんてすぐ、哀しみの溶岩にあぶられて溶けてしまうけど、あなた大丈夫?みたいな。

 

 

Midnight Scarecrow

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以前の曲で、似たような表現がありましたね。
車のライトに照らされて、伸びては縮む自分の影のことを歌った歌詞です。
ここでは「踊る案山子」と書かれています。ユーミンの目の付けどころを、示す一つのポイントだと思います。

また「明日にしてと切って」という表現は、叱ってください系の表現手法と類似しますね。

 

Walk on, Walk on by 

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Aメロ(アルバム収録タイム 0:43-)

B♭M7 |Am7  D7 |Gm7 Fm7(11)(B♭7が挟まれている可能性もある)|E♭M7  |

A7  D7 |Gm7 Gm7/F |Cm7  |Cm7/F |

B♭M7 |Am7  D7 |Gm7 Fm7(11)|E♭M7  |

Cm7  F7 |Dm7 Gm7 |Cm7  Cm7/F |B♭M7 |

Bメロ

B♭m7 B♭m7/A♭ |B♭m7/G B♭m/C |FM7 B♭m7 |F   |

B♭m7 B♭m7/A♭ |B♭m7/G B♭m/C |FM7  |Cm7 Cm7/F | 

=degree=

(key=B♭)IM7 |VIIm7  III7 |VIm7 Vm7(11)|IVM7  |

VII7  III7 |VIm7 VIm7/V |IIm7  |IIm7/V |

IM7 |VIIm7  III7 |VIm7 Vm7(11)|IVM7  |

IIm7  V7 |IIIm7 VIm7 |IIm7  IIm7/V |IM7 |

(key=F)IVm7  IVm7/III♭ |IVm7/II  IVm/V |IM7 Vm7 |I   |

IVm7 IVm7/III♭ |IVm7/VI IVm/V |IM7  |Vm7 Vm7/I | 

BメロでのB♭マイナーキーに移行してい感、後半に続くFメジャーへの転調、はっきりと「転調をした」というよりも、一つ一つの和声の連鎖が作る音楽的脈絡があるだけ、ということをユーミンは感覚で知っているのでしょう。

B♭→Fという変化の結果ももはや驚きません。

演奏時の一時的解釈としてこう考えたとしても、これがその楽曲への理解にはつながりません。

 

B♭→B♭m7への変化感を活用し、微妙に暗転するような曲調につなげることによって、心の思考の次元を一層下に掘り下げ、見つめている主人公がいる、という風に一時解釈したほうが適切。

 

この暗転は「短調に行った」というようなシンプルな理解ではなく、物事の深い部分を見つめた結果、意識が光源から離れ、相対的に視界が暗くなったのだ、というようなより感情的、現象的な理解をしてみると、“その進行にしなければならない理由”が少しずつ見えてきます。

自分で意図した、というよりも、普段自分がそのような考え、振る舞い、信念を持っていると、自ずと物事は自分が望むべき方向に流れてゆきます。ある選択肢が訪れた時も、普段の信念の結果、「今はそれははっきりしないけど、おそらくそうしなければならないのだろう」という直観が降ってきます。

「その進行にしなければならないからその進行にする」小泉進次郎構文、と揶揄されるこの文章には、もう一つの意味があり、「自ずと信念に導かれ、自分よりも一歩先に置かれている概念、出来事に出逢うようになる」という状況があり得ます。

子供が生まれその子の幸せを望むのであれば、今の自分の欲望よりも、重要なその子の未来に大切な決断ができるようになります。

ダイエットしようと固く決断していれば、自然と一駅前から歩くようになる、とか。本当の自分は望んでいないけれど、信念が遠くにある時、何をすべきかわかる時があります。本来小泉さんもそういうニュアンスで述べたのでしょうが、日本人はそういうアーティスティックな側面や決断思想を政治家に求めていません。記者もそういう発言を聞いたら、「あなたのどのような信念が、今のそういうニュアンスの発言になっているのでしょうか?」と聞かなければなりません。信念が遠くに大きく存在している時、人は自分の意志以上の存在に突き動かされるものです。

 

何でもかんでも奇抜に行くのではなく、意味/信念があるから使い、意味/信念があるから奇抜なことをしたくなる、しなければならないと感じる、というバランスについて戦うのがアーティストです。時に「使い古された」と言われ、時に「若気の至り」と言われます。それを実証するためには長い年月表現活動に従事しなければなりませんし、ユーミンはそれができました。小泉さんもあの時、挫けずに小さいところから表現活動を行い、結果を求め続けなければならなかったのです。

長く続ける、というのはそのくらい大切なことです。

 

Weaver of Love~ORIHIME

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和風。のちに2000年代に登場する、元ちとせさんらがもたらす霊感的な和風ブームの先駆け曲とも言えるかもしれません。

日本の原風景には、魂や精神、命や霊が欠かせません。
どこか怖くなります。その畏れが、自然を大切にする心や、「神」を念う心になって、日本人の精神を作っていくわけですから、こうした歌は本当に不思議です。

安全地帯の「あの頃へ」。とか、同じ匂いを感じます。

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 KATHMANDU