音楽教室運営奮闘記

音楽と教育と経営の雑記ブログ~不定調性論からの展開

浮遊感・希薄な脈絡で作る至高のコードテクニック;Delphine~ユーミン歌詞・コード考55

ユーミンの不定調性コード進行研究

ユーミン歌詞・コード考 / アルバム「KATHMANDU」1

 

   

Take me home

「ある日行く先も告げぬまま ひとり急行にとび乗った
鉄橋の音 雷のように ああ 不安にさせた
いつか着いてた終着駅は ああ なつかしい匂い
ホームに面影はないけれど コンクリートの枕木のかげ ああ あの白い花
Take me home ようやく知った Take me home
昔は未来の向うにもあること」

 

命の花
「熱いキスは 秘密のエントランス 二度とは戻れない」
「恋は嵐の中で咲く花
踏みにじられてゆくほど 紅く紅く ひらく」

「見つめる目は 哀しい天使の罠 さよならのはじまり
首に胸に涙の粒を撒いて ネプチューンの夢を見るの」

 

前のアルバムぐらいから少しずつ音楽が精神性を帯びてきて、いよいよ至高への道を歩き出して、ますます手が届かなくなりそうな急上昇を始めたように思います。

wikiに「アシッド演歌」と書かれていましたが、たしかに。

ユーミン歌詞の書き方の極致がここでも感じられます。

 

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Baby Pink
「Baby Baby もう何日も 眠れないでいるの
Baby Baby 苦い恋は どんな毒なの くすりなの
やさしすぎる悪魔の契約はまだ交わしたばかり
ショッキングなピンクの出合いがずっと忘れられない」

ちょうどジョージ・マイケルがfaithを出して日本じゅうを1、2年席巻して、アシッドジャズというスタイルが日本に入ってきて、ポップサウンドとしてあのジャミロクワイが96年に大ヒットを飛ばす、という時期ですから、こうしたサウンドで音楽を表現することが一つの実験でもあったわけですから、そうした風潮の中でできた曲かもしれませんね。

 

Delphine
(ユーミンレポートより)
Aメロ(アルバム収録タイム 1:13-)
B♭m7 |Am7 |B♭m7/E♭ |FM7 |
B♭m7 |Am7 |B♭m7/E♭ |A♭M7 |

Bメロ
Gm7 C7 |FM7 A♭/B♭(またはFm7/B♭) |E♭M7 |D7sus4 G(ベースなし) |
A'メロ
B♭m7 |Am7 |B♭m7/E♭ |FM7 |
B♭m7 |Am7 |B♭m7/E♭ |A♭M7 |
B'メロ
Gm7 C7 |FM7 A♭/B♭(またはFm7/B♭) |E♭M7 |D7sus4 D |
Cメロ
Fm7(9) |Em7(またはC/E) |A♭/B♭(またはFm7/B♭) |E♭M7 |
Fm7(9) |Em7(またはC/E) |A♭/B♭(またはFm7/B♭) |E♭M7 |
Fm7(9) |Em7 |~Aメロ
Aメロからm7コードが半音で連鎖しているように聴取した。この聴取自体に問題があるかもしれないので、このm7の連鎖が作曲のコンセプトとはここでは明言しない。曲名は男性のもとを去っていった女性の名前であり、この浮遊感のある進行が、追憶を象徴するような空気感を作っている。

この曲では根音進行も、和声の流れも実にランダムであり、連鎖した浮遊感に生まれる希薄な音楽的脈絡を静かにつなぐように歌われている。

 

極端な例で考えれば、
用例;
Cm7 |Bm7 |B♭m7 |Am7 |
Gm7 |Fm7 |E♭m7 |D♭m7 |
というような進行で、自分なりの音楽的脈絡が作れるか、ということである。そうした挑戦の一つとしてこうした作品を捉え、機能感でない連鎖がもたらす感覚に自分の音楽性をなじませることによって、こうした作風に挑戦しても良いだろう。

 

 KATHMANDU