音楽教室運営奮闘記

音楽と教育と経営の雑記ブログ~不定調性論からの展開

ユーミンで学ぶ先進的ケーデンス~ユーミン歌詞・コード考37

ユーミンの不定調性コード進行研究

ユーミン歌詞・コード考 / アルバム「DA・DI・DA」1

 

1,もう愛は始まらない

 

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さらりと聴いただけじゃ意味が分からないじゃないかんじ。

「さわらないで」とか「捨てていった」とか「引き換えに」とか「思い出」とか「けがされない」とかの否定的な動詞、名詞が並んでいることで、何となく意味がつかめるという歌の歌詞ならではのテクニックが使われていると思います。

 

これを、
例;「蒸し返さないで 今 あなたとの思い出を忘れようとしている そうすれば思い出はこれ以上汚されることもない」

とすると、現代のポップスの歌詞みたいになりますよね。意味も明瞭だし、たしかに!と思ってしまう。ユーミンの歌詞テクニックがもはやこのアルバム頃になるとブランドになった、と言っても良いのかもしれませんね。

 

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2,2人のストリート
(ユーミンレポートより)
サビ(アルバム収録タイム 1:13-)


C |C |B♭ |B♭ |
Am7 |A♭/B♭ |CM7 |CM7 |
FM7 |FM7 |E♭M7 |E♭M7 |
Dm7 |D♭/E♭ |CM7 |CM7 |


調が定まらない中、主体となるメロディはCメジャースケール(前半)とCマイナースケール(後半)を用いながら転回していく。しかも三行目からコードが四度上がるが、コーラスラインで補填しながら、主メロは前半二段と同じラインを繰り出している。ユーミンが以後使う技法の一つである「同じメロディに異なるコードを乗せる」技法がここで現れている。

 

本レポートでは確認できた最初の曲である(同一の技法は、当方の確認ではスティービー・ワンダーの楽曲『For Life In My Life』(1968)で確認できる(※詳しくはスティービー・ワンダー研究レポートについてお問い合わせ頂きたい~M-Bankまで)。


また分数コードが対照的に活用され、最後は見事CM7に着地する。このA♭/B♭とD♭/E♭という私の聴取が適切かどうかという問題もあるので、そこを言及しないが、G7に行かない、Dm7/Gに向かわずにCM7に全音下(後半は半音上)の根音から進行するという荒技になっている。

どちらの和音もC△に半音上下から絶妙に解決するコードになっており、進行感もある。このコードに基づく下記のように一般化できるケーデンスを例示しておきたい。
Dm7—A♭/B♭--CM7
または、
Dm7—D♭/E♭--CM7
これはこれでポピュラーミュージックの進行として、活用性の高い進行であると思う。低音の進行感の弱さが逆に新鮮であるが、下記のようにしてみたらどうだろうか。
Dm7/A—A♭/B♭--CM7/B
または、
Dm7—D♭/E♭--CM7/E


「一般的ケーデンスでなければ音楽は脈絡を持たない」という幻想のような常識を打ち破ってくれるユーミンのこれらの進行形態は、これからのソングライターがより巧みに加工し、21世紀のケーデンス=解決感を持たせる新たな和声進行の結句を各位にて研究することが、ユーミンが行ったケーデンスの開発を引き継ぐ作業になるだろう。

 

 DA・DI・DA(ダ・ディ・ダ)/松任谷由実