音楽教室運営奮闘記

音楽と教育と経営の雑記ブログ~不定調性論からの展開

IVsus4の使用例;恋人と来ないで~ユーミン歌詞・コード考27

ユーミンの不定調性コード進行研究

ユーミン歌詞・コード考25 / アルバム「SURF&SNOW」

 

以前まとめたブログ記事を現在の不定調性考を用いてリライトいきます。レポートの語調が"である調"なので一部引用部分の表現はご容赦くださいませ。

各種レポートはM-Bankにお問い合わせいただければPDF似て無償で配布しております。宜しくお願い致します(日本音楽理論研究会にて発表も行いました)。

 

1,恋人がサンタクロース
(ユーミンレポートより)

 

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Aメロ(アルバム収録タイム 043-)
D |D |E |E |
C#m |F#m |C#m |F#m |
Bm |G |C# |C# |→D
=degree=
(key=A)
IV |IV |V |V |
IIIm |VIm |IIIm |VIm |
IIm |VII♭ |III |III |→IV


ここではVII♭→IIIという増四度の進行が見られる。

ここからサビのコードD=IVに向かい、リリースされるのだが、このVII♭は実に特徴的に響く。本来エオリアンのVII♭になるが、これだけの説明ではどうやって使ったら良いか分からないだろう。このGの部分は、Esus4またはC#m7(♭5)でも良い。この辺りは個人の選択なのだが、ユーミンチームはVII♭を使ってくる。そして惜しげもなく増四度進行して、一気にサビに「飛び上がろうとする」印象を与えてくる。(中略)


このBm→Gは根音の関係はB=Iとすると、G=VI♭である。この跳躍は、言ってみればIm→VI♭M7というサブドミナントマイナーへの代表的な跳躍感も持っている。
つまり「このコードからどこへ行くか」を考えるとき、調的な範囲ではなく「雰囲気がつながるコード」を用いることでマンネリを打破することができる。つまりEsus4 でもC#m7(♭5)でもなく、ここは「VI♭に飛んだ感」がメロディにしっくりきた、またはこの展開にしっくりきた、と感じられなければならない。


そして続くIIIへの増四度進行は、禁じ手かもしれないが、こうした曲を例題にして「ああ、ここでこういう風に跳躍するとこんな雰囲気になるのか」と覚えてしまえば、増四度でコードが進行することにも抵抗など無くなるだろう。

 

「新曲」には、「新ネタ」を。がある種のモットーとなる人もいる。

 

そしてIII→IVM7という流れを作る。これもポピュラーミュージックでは雰囲気を持つ流れであるから、覚えておいて活用頂きたい。これ以前にも結果的に増四度に進行した曲があるが、私の個人的判断でこの曲で事例として取り上げた。

 

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2.シーズンオフの心には
(ユーミンレポートより)
サビ(アルバム収録タイム 0:00-)
B♭dim |A7 |Dm DmM7 |Dm7 |Fm6 |G7 |C |
=degree=
(key=C)
VII♭dim |VI7 |IIm IImM7 |IIm7 |IVm6 |V7 |I |

ディミニッシュコードで曲が始まってみよう!というのがどこまでコンセプトにあったかは分からないが、特徴的である。

 

このディミニッシュはパッシング(経過和音)的でもあり、A7に結びつくII♭7的でもある。スタンダードジャズなどでも時折見られる。アイデアとして覚えておけば用いることのできるコード技法なので事例として列挙した。このB♭dimはひょっとするとEm7(♭5)/B♭でも成り立つ。そして常識的に考えてどうしてもこのコードを使いがちである。そうした発想によって「いつも自分が使ってるフォルムでの」コード進行が生まれてしまうのはクリエイティブではない。「いつもの進行を疑う」というときに、この曲のB♭dimを思い出して頂ければ、と思う。

 

これはディミニッシュコードがメロディによってどんな雰囲気を持つか、ということにも着目してほしい。m7(♭5)だった場合と、ディミニッシュであった場合の違いを知れば、どういうときに使えるかを同曲を参考に発展できるはずである。


ただB♭をベースにするだけでもだいぶII-V感が薄れるので単純なベース音を少し工夫するだけでもコード進行は豊かに展開できるだろう。


3,恋人と来ないで
(ユーミンレポートより)
Aメロ(アルバム収録タイム 0:27-)
Bm7 |E7 |AM7 |A7 |
Dsus4 D |Bm7 B7 |E7sus4 E7 |
=degree=
(key=A)
IIm7 |V7 |IM7 |I7 |
IVsus4 IV |IIm7 II7 |V7sus4 V7 |

 

五小節目にIVsus4が入ってくる。

これは全体をミクソリディアンモードにする色彩感を持つが、曲の流れをミクソリディアンモードにする、というよりも、IVsus4の響きを用いた旋律に展開していく、という感覚で様々なコードを展開して応用していくほうがイメージしやすいはずである。

 

本来使用が難しいIVsus4を使った事例として覚えておきながら、各位が作曲する時の一つの刺激として覚えておいても良いだろう。これは、


用例;
CM7 |Dm7(9) |Em7(9) |
というような進行感に似ている。ダイアトニックコードを熟知してしまうと、Em7での9thに違和感を感じるが、Em7自身には9thは心地良く響くので、ここでは調とか、ダイアトニックスケールとか既存の概念を忘れてもらう。またそうしたことを取り払っておくことで、本来はsus4にならない、IVをsus4にできるのではないだろうか?また「ありえない」と思わず、一歩踏み込んで何度も何度もそのコード感に感じ入ってみれば、意外な音楽的脈絡を発見するかもしれない。こうしたコードはまだまだあるはずである。

 

SURF&SNOW 

 

 

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