音楽教室運営奮闘記

音楽と教育と経営の雑記ブログ~不定調性論からの展開

16, 青いエアメイル(なぜ5年を8年と言い換えるのか)~ユーミン歌詞・コード考21

ユーミンの不定調性コード進行研究

ユーミン歌詞・コード考 / アルバム「OLIVE」1-2

 

以前まとめたブログ記事を現在の不定調性考を用いてリライトいきます。レポートの語調が"である調"なので一部引用部分の表現はご容赦くださいませ。

各種レポートはM-Bankにお問い合わせいただければPDF似て無償で配布しております。宜しくお願い致します(日本音楽理論研究会にて発表も行いました)。

 

16, 青いエアメイル / 松任谷由実

 

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<Aメロ>
AM7--DM7--Bm7-Bm7/E--AM7
Em7--A7--DM7--F#m7--B7--E
AM7--DM7--Bm7-Bm7/E--C#m7-F#7
DM7--E/D--C#7--F#m7--Bm7-Bm7/E--AM7

 

この曲での分数コードは、ふわっと浮いたり、澄んだ響きをするので、雨上がりの雰囲気や、懐かしい述懐シーンに気だるくぐーっと入り込んできます。

 

また、ボソッと歌っては節の後半にずいぶんと間を置いたメロディの切り方の印象からも、そんな風に聞こえるのかもしれません。それともそういうサウンドだからそういうふうに歌ったのか。そういうことは意図しなくてもできてしまうのか。

 

出もマネできますよね。その考えかた。

 

F#m7--B7--Eの和音の雰囲気を"翻訳"してみてください。下記は私の翻訳、
「それでね・・・だったの、さらにそれでね・・・だったのよ」
的な文章の説得力を高める語りかけ口調の雰囲気を感じました。この進行感も、また呟くようなメロディがさらに一人想いにふける感じを高めてくれます。

 

どんな風にこの歌詞を作ったのか私はわかりませんが、このメロディがもし先にあったとしたら、何となく自分の妄想や思い入れを何度も反芻するような雰囲気のある曲だなぁ、みたいな音楽的クオリアを感じていたのでしょうか。

 

それゆえに、「5年、いえ8年」などと言い直して、自分の妄想を自分で訂正して、「こんな風に思いを巡らせている」登場人物の心情を、この言い直しで全て表現するかのようです。


(もし詞先だったら、すみません。私はもうわかりません)

 

※歌詞はこちら→

http://j-lyric.net/artist/a000c13/l0004d7.html

 

音楽自体が持っている心情を汲み取って、ストーリーに自在に展開する構成力のすごさよ・・・。

 

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でも、こういうことをどんどんやっていただきたいです。

 

間奏で、Aメロに戻る最後のコードはFaug的なまたはE7sus4(b9)/F的な不思議なコードです。

 

このAメロに戻る前のコードも仕掛けられる場所で、いろんな実験ができます。


主和音または"戻る"ことが分かっている前の部分は、はっきり言ってどんなコードを置いても戻れます(一応の何らかの戻った感はある、それをそのストーリで展開できるかが能力ではないか、と)。

 

また、このVIbaugも効果的です。「欠けてしまって、もう戻らない想い出」感を演出しているコードだと思います。こういう言葉にしないけど音楽で言ってます、的な要素が「深み」とか「味わい」ですよね。

 

また曲の最後のVIbも何とも言えない変化感。

 

曲が終わる時も仕掛けです。いつもトニックで終わる必要はありません。


言いたいことを言ってしまったら、あとは現れた雰囲気に曲を落ち着かせて、出てきたカラーで処理する、という方法もあります。これは作曲しながら変化させられる人だけが使えるテクニックだと思います。「絶対こうしたい!」と思ってがっつり作ることもあるでしょうし、出てくるまんまの雰囲気をストーリーに再構成して作る、というハイパーな技もあります。

 

このVIbの変化感はここでは、新しい季節を迎えて、新しい明日へ向かうわ!という思いをポジティブに感じさせてくれるコードのように思えませんか?

 

ドラマのエンディングを見ているようです。

 

OLIVE 

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