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不定調性論からの展開紀行~音楽と教育と経営と健康と

歌詞に書かれたこととは違う別のストーリーがコード進行にある;ユーミンレポート13

2018.2.24⇨2020.3.29更新

ユーミン歌詞・コード考16 / アルバム「流線形'80」2

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歌詞については掲載しておりませんので

https://www.uta-net.com/artist/2750/

こちら等にて確認ください。 

 

静かなまぼろし

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このフワーっとした感じは、伸ばす音のリズムでしょうか。
このような伸ばす音、というのは、追憶、というような印象を持ちますね。

ユーミンの声ってほんとうにふあっと、優しく、尖っています。不思議な声。ご本人は歌声が嫌い、ということでしたからいったいどんな思いで活動を続けてこられたのか、まさに戦士という印象しか受けません。

歌声っていうのは、こうでなければならない、という全ての概念を覆した、というか。ユーミンが続けてくれたことでその他の多くのボーカリストが自分の声に賭ける事が出来たのではないでしょうか。

 

魔法のくすり

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良く聞くセリフ、と思ったら、出典はユーミンなのか!なんて思ってしまいました。
Aメロ~(アルバム収録楽曲タイム0:33~)
Bm Em |Bm Em |CM7 |B7 | 
Em Em/D# Em/D CM7|Bm Em |A7 |D7 | 
Bメロ 
Cm7 F7 |B♭M7 |Cm7 F7 |B♭M7 | 
Am7 D7 |B♭M7 B♭M7/A Gm7 |Em7 |A7 |~Aメロに戻る 
=degree=
Aメロ(key=Em or G)
Vm Im |Vm Im |VI♭M7 |V7 |
Im Im/VII Im/VII♭ VI♭M7|Vm Im |IV7 |VII♭7 |
Bメロ
(key=B♭)IIm7 V7 |IM7 |IIm7 V7 |IM7 |
(key=Gm)IIm7 V7 |III♭M7 III♭M7/II Im7 |VIm7 |II7 |~Aメロに戻る

BメロでEマイナーキーから見たらVI♭mというかなり外れたコードを置いて増四度で主音を変える、という転調を行なっています。

またBメロ後半でもGmに転調するが、最後にEm7-A7というII-Vで全くつながらないままBmというメロに戻しています。このあたりも

「キーに戻るために用いるII-V」と

「メロディの雰囲気に合わせたII-V」の

用い方がわけられてます。

 

用例;

Dm7 G7 |EM7 |

このとき、メロディをe音にします。

Dm7(9) G7(13) |EM7 |

という表記にもできます。

このコード進行はII-Vの進行として適切ではない、と言われるかもしれません。

しかしメロディを紡げる人であれば、II-Vの進行感と、e音の共通音の連鎖と、G7→EM7の転調感全てにおいて「音楽的脈絡」を感じることができ、それを「自分なりのシークエンス」として活用できてしまいます。

つまり、こういうことをがしたくなった時、一般にはあまりないが、やってみようという知性か、逆にそういう理屈を知らずに、本人の強い音楽的なクオリアがそれを推し進める場合があると思います。

何れにしても自分の感覚ファーストで判断できるように自身の感覚を鍛えていってください。

 

6,キャサリン

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枯葉進行の曲なので、雰囲気が勝手に作られてしまいます。


歌詞に書かれたこととは違う別のストーリーがコード進行にある、という二重性を用いることができる楽曲形式です。

 

これは分かってやらないと世界観が作れません。

コード進行が持ってる都会性、冷たさ、切なさ、は歌詞では一切表現しないで、肯定的な歌を歌うことで、主人公の過ちを暗に表現するとか、そういうテクニック。

間違った人を愛して、本人はそれに向かって突き進んでいるけれど、ヤバい恋よね。アナタ全く気がついていないけど、、、みたいなことを言わんとしようとするとか。未練がないって言って未練を表現するとか。。

 

この曲だけじゃないのですが二重の意味をいくつも持たせるような「欲求」を感じます。才能がなせる業なのか、そういう性癖があるのか。

先だって「反動的指向」と言ったそれです。

いずれにせよ、薄っぺらい歌にならない理由はそういうところにあると思います。音色にクオリアや共感覚を当て込める人のテクニックだと思います。

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 流線形'80