音楽教室運営奮闘記

不定調性論からの展開紀行~音楽と教育と経営と健康と

I Want To Tell You~♭9thをただのテンションからポップな印象に変える:ビートルズ楽曲topics

2018.1.29⇨2019.5.29更新c

ビートルズの不定調性コード進行研究

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ほぼ全曲ビートルズのコード進行不定調性考察 アルバム「Revolver」3(2018)

For No One

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キーがBでVIIb7のAが入ってきます。

 

Aメロのメロディを拾っていくと、使われている音はわずかですが、音階解釈していくと、
Bハーモニックメジャースケールを当てはめることが出来ます。

ド-レ-ミ-ファ-ソ-ラb-シ-ド

ですね。

拙論でのモード名でいうと、アイオニアンb6モードを活用した歌、ともいえます。

 

原曲は、
B D#m |G#m G#m7 |EM7 A |B |
です。


これを
(参考)
B D#m |G#mM7 |Em7 A#dim7 |B |
となります。

 

しかしこれだとずいぶん怖い感じのメロディになりますね。

通常のダイアトニックの中に別のコードが入ってくるからこそ、その「アウト感」が新鮮なんですよね。理屈に添えば曲のメッセージにも沿う、というわけではない例です。

じゃーどうするか。

そうです。あなた自身の意思をしっかり鍛え上げるんです。「音楽的なクオリア」を。

それすら迷う時があるのですから、音楽って奥が深すぎて。

 

固定観念とは、必ず惑わされていることに気がつかないから固定観念。

自分のことより他人のことの方がよくわかります。

正解のない問題において、人に「君は間違っている」という人は、必ず「私が間違っているかもだが」という前提を掲げる勇気を示しましょう。

 

あともう一点、この曲の最後を締めくくるコード、実は曲全体のV7で終わるんです。

フワッと風に舞うような締めくくり。意外と気がつかないビートルズブランドの中で輝く奇抜さ。

アルバム収録時には違う曲が来る可能性もあったわけですが、不定調性論的に言えば、次の曲が始まれば、ビートルズのような歴史的アルバムだ「人はストーリーを感じようとする」ので、このフワッと浮いて宙ぶらりんになった、香るような余韻は、次の曲の頭で"次の章の始まり"と云う「継続感」によって解決します。

アルバム文化ならではの雰囲気、物語性を曲の構成が持っていた、と言えます。

 


 

I Want To Tell You

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ジョージのナンバー。

不定調性サウンド。
Aメロ
A |% |% |% |
B |E7(b9) |% |% |% |
A |% |

Bメロ
Bm |Dm |A |B7 |
Bm7 |Dm |A |% |


AメロのIIはビートルコードですね。

E7(b9)のエグイ感じが新鮮です。これはジャズのテンション感ではなく、ちょっと不安定な雰囲気を出したがっているとしか思えません。

b9thという音の印象を「テンション」ではない視点で、活用している点が、ジョージのビートルパワー。

 

「君の前に出るといつも失敗ばかりの僕」
という歌詞のようなジレンマが反映されているのでしょうか??

 

Got To Get You Into My Life

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ポールのナンバー。ホーンセクションのサウンドが新鮮です。
Aメロ
G |% |F/G |% |
G |% |F/G |% |
Bm BmM7 |Bm7 |Bm BmM7 |Bm7 |
C C/B |Am7 D7 |G |G |

となってます。後半はブルージーに展開します。

 

注目はIIImつまりBmでのクリシェですね。IImはスティーヴィーでもおなじみですが、IIImはなかなか見ません。
ぜひ原曲を聴いて確認してください。

 

これも彼らの曲になると、単にBmがきたから、これをクリシェにしてみただけ、というさらっとした感じを受けます。まあコードがどうこうなどのレベルで音楽やっていないでしょうし。世界を見て仕事をしていた人たちですから。

 

あまり「なぜIIImでクリシェができるのか?」とは考えず、出て来たコードに対してアクションを起こす、という自由な不定調性発想でアプローチしてみてください。