2018.1.25⇨2020.1.27更新
ビートルズの不定調性コード進行研究
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ほぼ全曲ビートルズのコード進行不定調性考察「A Hard Day's Night」1
ハード・デイズ・ナイト(邦題:ビートルズがやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ!) - A Hard Day's Night
G C |G |F |G |
G C |G |F |G |
C |D |G |C7 |G |
一見キーはCメジャーかと思わせる展開ですが、Gです。
C,F,Gが使われていますがFはGのVIIbなんですね。
Cメジャーキーのスリーコードに一瞬見えます。
話変わりますが、ロックといえばペンタトニック=五音音階ですが、たとえばcなら
c-e♭-f-g-b♭
がマイナーペンタトニックの音。
これにそれぞれメジャーコードを乗せてみて下さい。
C△-Eb△-F△-G△-Bb△
ちょっとビートルズっぽいコードの流れになります。
でもこんなこと機能和声では初歩の段階では出てきません。こんな簡単でかっこいい進行なのに。不定調性的進行。
展開部
Bm |Em |Bm |% |
G |Em |C7 | D7 |
さらにこの展開部、ここでのC7が何だか凄く違和感になります。
でも「ブルージー」といえばいえなくもありません。
すると、下記の質問が沸いてきませんか?
調的な感覚って何だ?
ブルージーって、どういう感覚なんだ?
そこを不定調性は解きたかったわけです。考えたことありませんか?
なんで自分は人が作った「調」に魅力を感じてるんだろう。
これは科学的根拠があるのか?それともただの刷り込みか?
って。
これは刷り込みであると考えて拙論は進んでいきます。
恋におちたら - If I Fell
下記を参照下さい。
今日の誓い - Things We Said Today
Am7 Em7 |Am7 Em7 |Am7 Em7 |Am7 Em7 |
Am7 Em7 |Am7 Em7 |Am7 Em7 |Am7 |
ここまではドリアンともエオリアンともいえない流れです。
メロディもAマイナーペンタトニックが日本人から見た民謡調に使用されていて、独特です。
この先、
C |C(9) |F |Bb |
と流れます。
ビートルズ得意のメジャーコード進行ですが、BbがAフリジアンのbIIのように強烈です。キュッと締まりダークになります。
さらに展開部では、メジャーキーに転調し、
A6 |D7 |B7 |E7 |
A6 |D7 |B7 |Bb7 |
と7thコードで展開するは、裏コードBb7は出てくるは、まるでジャズの曲でも見ているかのようです。
それよりもメロディが美しいです。コードに頼らず、まずメロディありきのビートルズらしいクオリティ。
曲の頭はIm-Vmで泥臭く、マイナーキー。そのまま泥臭くいくわけもなく、不定調性な進行で展開して動的、静的な感じが出されています。
"工夫"されています。私はシンプルで飾りのないブルースも好きですが、人智巧みに工夫された世界も好きです。
また、繰り返しが行われる事で、その雰囲気が刷り込まれ、そこからがらりと変わる事で、変化感を感じる、というのももはや”ビートルズのシーケンス技法”です。
当ブログのアーティストではスティーリー・ダンが発展させています。
例;
CM7 | FM7 | CM7 | FM7 |
CM7 | FM7 | CM7 | FM7 |
BbM7 |BbM7(9) |BbM7 |BbM7(9) :|
というようなBbM7は"まるで必要とされていたかのように"登場します。
こんなとき、キー云々という頭は吹っ飛んでしまいますね。
コードは長く伸ばすと、存在感が引き立ち"その場でのトニック"になる、という錯覚でも感じているのでしょう。
調や機能の所在を考えなくても音楽ができるその方法論をビートルズは数々が楽曲で私達に示してくれています。