音楽教室運営奮闘記

音楽と教育と経営の雑記ブログ~不定調性論からの展開

6,If I Feel(和声連鎖に基づいた旋律設定の例) / The Beatles(2018)

ビートルズの不定調性コード進行分析

6,If I Feel / The Beatles

 

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出だしの部分の特殊進行が有名ですね。
Ebm |D |Db |Bbm |
Ebm |D |Em |A7 |
となってます。

この曲をもって「ビートルズのコードの使い方は変わってる」などと言われたりします。

 

どちらかというと、こちらのほうが「人間的」です。その人が知っているコードを並べながら、自分の歌に合うであろうコードを自分で乗せたんですから。

通例はポピュラー音楽理論の教科書を読んで、こうしたビートルズの事例も知って、初めて「もう取り組んでもいいかな」なんて具合に始めるはずです。

 

これを、

Ebm |C7(b5,9) |Bbm |Bbm/Ab |
Ebm |F#7  B7 |Em7 |A7 |

として"正答"にしていったいどうしようというのか。

 

原曲を

key=Db

IIm7(subSD)  | IIb△(subD) | I(T)    | VIm(subT)  |

                   key=D      

IIm7(subSD)  | IIb△(subD)IIm(subSD) |V7(D) |

                                                                   ⇒IのII-V化      

などとしてこの曲の何が解るのだろうか。

 

 

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その人は、その人の生き方を自分で選ばなければなりません。

失敗しようが成功しようが、思い切り生きている人を変えることはできません。

だからその人の数だけハーモナイズがあり、和声付けの方法があり、どれも注目される可能性があり、どれも際立って優れている、と言われる瞬間があり、結局個人個人が様々な勉強を経て自分の方法を身につけなければなりません。

今注目を浴びてる人も、いつかは去り、今正当な方法もいつかは古びてしまいます。

 

教師という立場上、いろいろな曲を自分なりに説明できるようにしながら、自分の考え方をまとめていくわけですが、これって教壇に立ってしゃべっても「私はこう思うけど君はどう思う?」っていうことを言わないと話が先に進みません。

新しい価値は皆さんが潜在的に持っているんです。

自分の論を押し付けるのが教師の仕事ではなくて、皆さんの新しい時代の価値観を導き出すのが仕事です。そのために古い価値が必要なら教えますが、私の考えは「誰でもお金を出せば学べる知識は、それを学んでいる暇のある人が知っていればいい」と思っています。

お金を出しても学べないことを探すべきです。

 

ゆえに、このジョンの作ったイントロは、これ以外ありえないし、コードを変えて雰囲気がさらに良くなったとしても、それはそういう解釈があなたが好きなだけで、それを一生涯あなたが啓蒙しても、ジョンのこの解釈が好きな人が消えることはないでしょう。

 

 

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ここでは、
「もし君と恋に落ちることがあったら、約束して欲しい、本当のことを言うって」と言う下りから"説得するような感じ"と、"コードが下降する感じ"が何ともマッチして、潜在的にコードのクオリアと歌詞のイメージがフィットしているようにも感じます。

先の"正答"とした進行にはそれがありません。

こうしたメッセージをジョンがどのような思いで作り、そこに和声をつけていったのか、なんとなく感じるところがありますよね。優しい人だなあ、とか、威圧感あるなぁとか。どんな感じ方でもいいです。

日本語の歌だったら、もっといろいろ感じるでしょう。

もちろん、そういうことを無視して作る歌もあるので、「歌詞とマッチしていない」と思ったら、「歌詞とマッチさせない作り方なんだろうなぁ」と思えばいいだけです。あとは好き嫌い。

 

この曲で作られた和声の連鎖のアイデアをもっと膨らませてみましょう。

これは隣のコードフォームに移動しながら、その雰囲気を感じ、何らかの音楽的メッセージが自分の中から出てくるか考える、という不定調性的なやり方です。
C△ |Dbm |D  |G   Ab7  |

AM7    |G#m7   |G    |F#7    |

G/F    |E7     |A/G   |C#m7/F#  :|

これを作っている時は、調のことなど考えません。

響きとメロディの乗りを音楽的脈絡を大切に作っていってください。

 

メロディはシンプルに一音だけでも良いのです。自分が唄いやすいメロディを創造して作ってみてください。

 

堂々と凄いことをやってくれましたよね。ビートルズは。

ここから「変なのだ!」ということだけをピックアップするのではなく、「新しい価値観」がどこにあるのか、既存のどんな価値観がこれによって上書きされたのかをどんどん自分に認め、自分の音楽理解を先に進めてください。

 

ネットに出る情報は10年ぐらい古いと思います。

 

ネットにないからと言って尻込みせず、自分の考え方を信じ、追求し、発信していってください。あなたにはその権利があります。

 

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