2018.1.08→2020.06.12更新
ビートルズの不定調性コード進行研究
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ほぼ全曲ビートルズのコード進行不定調性考察「SGT.Pepper's〜」4
ア・デイ・イン・ザ・ライフ - A Day in the Life
メジャーコードが作り出す雰囲気を把握した彼らは、いよいよ「これ、なんでもありじゃね?」と気がついたかを示すような一曲。
この曲ですが『ラブリー リタ』で使われた、「ビートルコードの無限連鎖」
が拡張されてもはや当然のように使われています。
後半ジョンがAh----と歌い伸ばす部分です。
C |G |D |A |E5 |
C |G |D |A |E5 C |
(E5がEmやEになっている楽譜もあります。おそらく三度のないE5かな、と。)
これは四度進行(五度進行)です。
五度圏をぐるぐる回るわけですから、延々と続けることが出来ます。
ちょっと例を考えてみましょう。
例)
C |G |D |A |Eb |Bb |F | C |
G |D |A |E |Bb |F |C |G7 :|
こんな感じで一曲できそうですね。
では。
C |G |D |A |E5 |
これを(既存の)音楽理論的に分析してください。何が起きているのでしょうか?
C,GでCメジャーキー、D,AでDメジャーキー、と解釈すれば良いのでしょうか?
この、C,G,D,A自体は難しいコードではありません。
ギターで弾けば、C→Gは同じポジションで弾けて、D→Aは2フレットずらして同じフォームで弾けばできます。
すると当サイトが述べている一つの推論がまた頭を出してきます。
"知っているコードをなんとなく並べているうちにできた"
まずはそういうふうに考えてみてください。四度進行とか、五度進行ではなく、C→Gと弾きながらah-ah-ah-と歌いながら「次どこ行こうかな」という流れで曲の雰囲気を捉えながら、面白いサウンドになるところを探して、たどり着いた、としてみてください。
そのやり方ならできそうではありませんか?何らかの理論を使うわけではないですから、とにかく珍しいところに行ってみようとする意図を持って作ってみてください。
下記は独自論になりますので、スルーしてください。
不定調性論は、この「適当にやってもそれぞれの型になるように」した方法論集です。
例えば、この曲なら、「オクターブレンジステップ」という考え方のコード連結用になります。
不定調性論では、この五度や四度などの「音程」に「オクターブレンジ」として考える、というやり方があります。
(4回シリーズ)
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長三度、という単位が決まれば、基音Cから長三度を拾っていくと、
C-E-G#-C
という「歩幅」になります。
これがジョン・コルトレーンのGiant Stepsにもつながりますね。
私たちのピアノは、「短二度」が「歩幅」になっています。
そう考えると、五度圏は五度が「歩幅」になる「音階集合」と言えます。
C-G-D-A~
というのは、「五度の歩幅」で動いているわけです。
この曲では四度という単位(「歩幅」)で展開しているわけです。
そうすると
D--G--C
もドッペルドミナントモーションではなく、完全四度が「単位」となった進行、と言えます。
短三度△なら、
C△--Eb△--Gb△--A△
長二度mなら、
Cm-Dm-Em-F#m-G#m-A#m
メジャーコードの連鎖の雰囲気は、サイケな時代の色彩感や、幻想的なサウンドコンセプトに非常に相性が良かったのでしょう。
本来は有名になるとどんどんマニアックになり、サウンドが廃れ、ファンが離れていくのですが、ビートルズのマニアックにはサイケという時代がマッチングしたのです。これはもう奇跡としか言いようがありません。
さらに「それまでのビートルズ楽曲ではないビートルズ楽曲」を作るために『コンセプトアルバム』というジャンルを創り上げ、前アルバムと全く違っても違和感もなく、斬新さ、ちょっと変わったとこいちゃった、解釈がすぐできたこともこのアルバムの成功の要因ではないでしょうか。