音楽教室運営奮闘記

音楽と教育と経営の雑記ブログ~不定調性論からの展開

10,I am the walrusとGood day sunshineの#9thとかの話~コードアナライズ??(2017)

旧ブログ記事のリニューアルです。

良くお読みいただいている記事を現代の教育的見地から見ていこうという試みです。

   

<前置き-読み飛ばしてください->

ビートルズをコードアナライズしてください。

これは先生に言ってはいけません笑。できないからです。

「できない」というのは、機能和声の範疇に収めようとすると、あることが起きるからです。その"あること"とは、

ビートルズをコードアナライズすると、コードアナライズによる楽曲分析の問題点しか浮きあがってこないから

です。

で、この「コードアナライズの問題点」とは、

ただ記号を当てているだけで、何の理解にもつながってはいない

ということです。

だって、ギター弾く人は、それがトニックコードか代理コードかが分かっても技術が向上するわけではないからです。

エンジニアはそれが分かってもどのコンプを使えばいいのかイマイチ分かりません。

 

作曲する人は、いろんな転調構造で分析されても見れば見るほど、

これってただのメジャーコードの連続じゃね?

と思われてしまうからです。そんなこと悟られては100万近く払ってもらっている専門学校はたまりません(真実なのに)。

その後に、パット・メセニーやチック・コリア、ホールズワースが学習分野として控えているのです。ビートルズを何とか凌いで、チック・コリアの「spain」までたどり着けば、ジャズ・フュージョンの学校としては御の字なわけです。

でも他人をいくら勉強しても自分の事は分かりません。

あなたが明日から何をすればいいか、どこに自分の音楽があるのかが分からないのです。それは勉強ではないんです。今日今から自分が何をしなければならないか常に把握できる状態に持っていくことが勉強です。そしてそれが分かっている人は先生はいりません。野良猫は先生がいなくても立派に生き抜きます。やるべきことに体が自然と動くからです。

 

ビートルズが体系的に分析できるのは、不定調性論しかありません。

というのは言い過ぎでしょうが、少なくとも機能和声論以外の言語でビートルズを考えられる学問的な色合いを持った体系は現状これしかありません。他のセオリーもありますが、学習者が100%理解しているかどうかがあいまいです。不定調性論はそれを作った人が生きていて日本語をしゃべっているので、今後自在に変化活用・議論できる素材なんです。そして世界に発信できます。

 

でも普段、先生方は皆様それぞれの知識と経験で巧みにビートルズのポイントを教えておられることでしょう。

私はそれをもっと重視し、ご自身で体系化なされれればよいと思っています。

 

ビートルズはメロディ、歌詞、レコーディング、ミックス、プロモーション、あらゆるポイント本来学習すべき偉大なアーティストです。あまりに偉大過ぎて、一人が人生で担当できるのはそのうち一つくらいしかないです。私はビートルズの学校での位置付けの迫害感をどうにかしたくて、その根本ともなっている和音の連鎖を不定調性論という考え方をもとに担当することにしました笑。勝手に。

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長い前置きでした。

■I am the walrus
イントロ
B   ||2/4 B  |B  A   | G  F  |E    |E7   |D  |D7   |
Aメロ
A  A/G |C   D E| A  A/G |C  |D  |A   |~

A'メロ
A  A/G | D   F G| A  A/G |F    |B  |B   |~

サビ
C |D   |E    |

これを1コーラスとして見ていきましょう。

まず以下の質問を考えてみて下さい。

Q1.このコーラスのキーは何でしょう?

よく聴かれる質問ですよね。なんて答えますか?こんなこと先生から言われたら?

答えはこうです。

「この曲弾くとき、私はキーは考えません。」

ですよね。コーラス回してビ・バップのアドリブを取るわけではないからです。アドリブを取ろうと思って選んだわけではないとしたら、キーを考える必要はありません。で、そうなるとどうなるかというと、

キーを考える必要がない→コード分析がいらない→やることがない

となります。現在の機能和声教育ではこの曲は題材にならないんです。

 

でも、作曲を始めたばかりの人は、

あれ??この曲どうなってるんだろう??

って思いますよね。当然です。ワケワカメだからです。

レノンが教えてくれているのは、

「なあ、オレ、知ってるコードがいくつかあれば、いくらでも曲作れるぜ、だってコード弾いてりゃ、メロディが勝手に出てくるんだからね」

ということです。

こういう方はたくさんおられますよね。それが作曲家です。

 

"おはようございま~す!"

をメロディを付けて歌ってみて下さい。すぐできますよね。

「まーす」で音を上げますでしょ?笑

で、それ、感覚でやってるでしょ?本来その「自在にやってるあなたの感性」を鍛え上げるべきなんです。あなたはもう最初から全部持っているんです。

 

じゃあ、I am the walrusのポイントは何か、というと

「知ってるコードで気持ちよく感じる流れを作っていく」

だけです。

オッカムのカミソリ、シンプルな答えが最も真理に近い、です。

 

難しいコード分析とかいろいろできますが、それらはあくまで付属的なもので、持ち歩けない知識です。

感性はハートではありません。ハートは身勝手なので自分を壊しにかかります。

どちらかというとスピリットです。無我なあなた。あなたの体全体が反応してしまう何か。

不定調性論ではこうした同一和音の連鎖を「和声単位旋律」と呼びます。同じタイプの和声だけを並べていくことで「音楽的脈絡」をつくる方法です。その時の

「連鎖させる動機と脈絡」は、

あなたの感性のみです。スティービー・ワンダーなどは同じことをm7でやったりしています。

「この進行が言っていることを私が理解する」

が不定調性論の音楽分析です。

 

いや、そんな事であってはならない、もっとちゃんとしていなければならないはずだ。

 

と思い込みたいのです。

でもそれじゃ学校での勉強要らなくね?

良く気がつきました、その通りです。でも学校に行かないと色々損をするでしょう?それを気にしなければいく必要はありません。そのかわり自分がやりたいことが完璧にある、というのが条件です。親御さんはその子が一生食べていけるべきものが見つかったら学校は必要ありません。

普段から、自分のやり方や、やったことを自分が認めてあげる、ただそれだけです。

 

<不定調性論的分析>

細かい分析は書きませんが、この曲、例えばイントロから作ったとしましょう。

その時Bコードから作った時、このBコードを「センターコード」と言います。

意識の真ん中に置かれるコードです。「さあ作るぞ!」っていうときに弾いた和音ですね。ここから自在に展開していきます。

B   ||2/4 B  |B  A   | G  F  |E    |E7   |D  |D7   |

Bから始めて全音ずつ下がっていきます。ギターなら2フレットずつ下にずらすだけです。このシンメトリー、パターン、を「模様感」などと呼びます。なんとなく不規則ではなく、規則があることで音楽的な脈絡や精神的バランスが保たれます。こういったことを頼りに自分だけの脈絡を作っていくわけです。

そしてFのあとEにいくのはギターがE♭を弾きづらかったから、かもしれませんよね。

これがピアノだったらE♭に行っていたかもしれませんね。

 

Aメロ
A  A/G |C   D E| A  A/G |C  |D  |A   |~

A'メロ
A  A/G | D   F G| A  A/G |F    |B  |B   |~

A-A/Gは、最初A-Gだったかもしれませんね、またはA-A7。それは別に何でもいいんです。イントロで全音ずつ降りてきて、歌い始めも全音下がるの、なんかマンネリじゃね?とあなたが思ったら、変えればいいんです。いや、この曲はひたすら全音下がりでいく!と決めたらそれでもかまいません。結果どのような思考をとってもA-A/Gが生まれたならそれがあなたの音楽的脈絡なんです。このときはAが意識の真ん中、センターコードになっているようにも思えます。機能和声論でいう主和音です。不定調性論の場合は、12音の中で自在に作る集合のうち、自分が意識する中心をセンターコード、と言います。

A'メロの最後にはF-Bという増四度進行が見られます。これは「ちょっとこの辺で、普段絶対行かないところ行って作ったろ」と思ったとしたら、どんなに理論が頑張ってもそれ以外に行かれてしまうのですから意味がありません。

     

あとはコード進行のパターンが作る脈絡を知っていること。

A-A/GはI-I/VIIb

C-D-EはVIb-VIIb-I

D-E-AはIV-V-I

これらは様々なとこで見かける「機能和声進行の断片」です。

これが弾かれた時、ちゃんと印象をあてはめられれば、それは意味を持ちます。たとえば、

|:C   |C/Bb  |C   |C/Bb  :| テンポ130,ハネ

にあなたはどんな「印象」を感じますか?わたしは「青い空の空間」というイメージを持ちました。機能和声はこれを、

CはトニックのI、C/BbはI7の転回形、またはVIIb7(9,#11,13)のアッパーストラクチャートライアド。

 この説明、あなたの曲のいつ、どんな時に応用可能な説明だ、ということを述べていません。この進行が

「ふわっと浮いたような進行感」「固いどっしりとした基底部と、柔軟な上部の揺れ」とかって自分の言葉で理解できれば、この進行をラブソングの冒頭で使おうとしたら

"変わりそうで、何も変わらない毎日に"とかってメモ歌詞とメロディを作り、「あなたが現れたのだ」何てつなげる導入部かな?

とか

やっぱり「この進行はBメロで使って、あなたに出逢って、揺れ動き始めた私の心を表現する、みたいな感じかな!!」と理解できます。

そうなると、いつ使えばいいか、曲を作りながらインプットされていきます。

こういう感じでいろんな曲が持つ自分なりの解釈を理解するだけでいいんです。

 

そうすると、最初に述べた、

「だって、ギター弾く人は、それがトニックコードか代理コードかが分かっても技術が向上するわけ」

「エンジニアはそれが分かってもどのコンプを使えばいいのかイマイチ分かりません」

というのもちょっと違って、そういった雰囲気をこの進行が持つ、と分かれば、すこしAのコードをがっちり出して弾こう、とか、あいまいな雰囲気だからコンプは軟らかめにかけよう、とか「意志」が浮かんでくるので、たとえ下手でも雰囲気と意図を統一して決めることができます。ここには理論はありません。

もちろんがっちり引くための指の位置や、そのためにどのコンプを使えばいいか、先生からアドバイスをもらえばいいのです。それでも最後に決めるのはあなたです。

 

 

■Good day sunshine

(参考)

gakufu.gakki.me

では、

「この進行が言っていることを私が理解する」

を利用して、下記の進行を分析してみて下さい。

B  | F#  |B  |F#   |E   |E7  |

good day~

 A   F#  |B    |E |A    |

I need ~

というところだけ。

「あっけらかんとした雰囲気」

「ピーカン!という感じ」

なんて感じます。みなさんはどうでしょう。

 

この青字のEのところでメロディが#9thでブルージーにぶつかります。これを知らないと歌いづらいということが分かります。

これも本来であればE7(#9)にしなくていいのかな?とか考えるかもしれません。そういうふうに捉えると音楽はどんどん普通になってしまいます。1曲ぐらいはイイですが、それが過ぎると結局自分の音楽が停滞してしまいます。

一度ルールを守る度に、野性が去勢されていくからです。

ピーカンなら、その雰囲気通り明るく理屈通りM3rdを使いそうですが、ここだけぶつけてちょっとブルージーにするあたりの思考がポールの天衣無縫さを感じます。いや、たぶん英語圏て、こういう音感が普通だと思います。日本だけなんじゃないか、と思うくらい。これが変だって感じるのは。

バーンスタインがこの曲を賞賛した、なんて英語wikiに書いてあります。そうなったらもう誰もNG出せなくなるっていうのが洗脳社会の便利なところです。

 

またF#はVI度の感じ、を出しながらも決して「VIに行ったよ」という感じを与えません。わざわざ経過音を使って下がってきています"デデデデン"。まさに"I need to laugh"ですね。普通だと「これはVIに行ってるって分かる人は分かるだろう」とか考えて、そのままVIに行くことでしょう。

それはVI度和音という概念に拘束されています。

これはVIどの和音などではなく、"エッジ"になっているんです。この箇所、

 A    |B    |E |A    |

でも歌えます。デデデデン!!とF#に落とすことで、コミカルな感じ、陽気な展開感を与えています。そういう「役割を持ったコード」であって、

VI度に向かった

だけではない、と捉えます。これがコードアナライズの先の感性の話になるんですね。

 

ギター一本で演奏するとき、作曲するとき、ぜひありきたりな進行感をありきたりな指の習慣で弾くのではなく、そこにある雰囲気を感じて、この曲だったら面白がって弾いてみて下さい。実はコードアナライズには、その先に感じるべき世界がある、ということが分かるのではないか、と思います。

 

そしてビートルズだと恐れず、どんどん自分なりに、彼らの感性を応用してみて下さい。

 

課題を上げるとしたら、簡単です。

 

C△  D△   E△  F△  G△  A△  B△

 

の七つのコードを使って曲を自由に書いてみよう。

です。不定調性論の機能不必要性の意味がお分かりいただけると思います。