音楽教室運営奮闘記

音楽と教育と経営の雑記ブログ~不定調性論からの展開

116.クリスマス・イブ / 山下達郎(2017)

鉄板のコード進行なので、ぜひ一家に一進行、ぜひ習曲としてでも、曲を作られる方は、一度作って自分のものにしてみてはいかがでしょうか。

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ちなみに「カノン進行」というのは、パッヘルベルのカノンにて用いられた音楽的流れ、というだけで「カノン」(追唱)の音楽形式の用語との意味はまた少し異なります。

"よくあるコード進行"をどうやって洗練させるか、という教材としてよく使われます。

あまりに鉄板の進行だから、通例「シンプルイズベスト」という考えに囚われてしまい、結局「よくある曲」になってしまう、というオチです。でも同曲はちょっと違います。よく聴く進行が持つ力を理解して、その力に依存せず普段以上にしっかりアレンジしましょう。    

AM7 |E/G# |F#m7 |E |

DM7 |C#m7 |Bm7 |Bm7/E E7(b9) |

AM7 |E/G# |F#m7 |E |

DM7 |C#m7 |Bm7 |Bm7/E Eb7 ||DM7 |

というのがこの曲の一番有名な部分です。
"きっと君は来ない"につながる、"雨は夜更け過ぎに~" からのところですね。

 

Aのキーで分かりづらい方のために、Cのキーに移調してみます。

CM7 |G/B |Am7 |G |FM7 |Em7 |Dm7 |Dm7/G G7(b9) |

CM7 |G/B |Am7 |G |FM7 |Em7 |Dm7 |Dm7/G Gb7 ||FM7 |

このラインで、
G/BというのはG△/Bという意味(分数コードといいます)で、このコード進行のベースラインが、
ドーシーラーソーファーミーレ~
と下がっていくラインになり、これがカッコいいんですね。これは中級者になるとこだわりとして気がつくところでしょう。音楽の横の流れの面白さに気がつくと、通例三年は逃げられません笑。早くいい先生を見つけて3ヶ月で解毒してもらいましょう。

そうしないと勉強だけで3年過ぎてしまうからです。

どんどん活動しながら、自分の曲や演奏を通して勉強するのが一番体に入りますので、「勉強に集中するなどやめなさい」と言ってくれる先生が必要なんです笑。

結果活動している方が目標やゴールが高くなりますから。

 

この進行を三和音にして弾いてみてください。
C△ |G△ |Am |G△ |F△ |Em |Dm |Dm/G G△ |
まったく雰囲気が変わると思います。

この差異を「全然違う」と捉えるか、「結局おんなじだろ」と考えるかでも音楽性に違いが生じます。もちろんどっちが劣る、という意味ではありません。自分が感じる方向を信じて追求してください。

 

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で、またこの進行では、Dm7/G、G7(b9)、Gb7というコードが勉強できます。

この三つのコードがなくても曲が"成り立ち"ます。
CM7 |G |Am7 |G |FM7 |Em7 |Dm7 |G |

CM7 |G |Am7 |G |FM7 |Em7 |Dm7 |G ||FM7
というシンプルな流れでも弾けてしまうんですね。このb9をつけるかどうかでも、進むべき音楽性が決まります。「そんなのつけてもつけてなくても関係ねー」と思えば、それで良いのです。

ただし、通例は音楽をたくさん聴いていくと「b9とか入る曲も悪くないよね」みたいに好みが変わりますので、世間からの洗脳とは大変厄介です。またそれだけ素晴らしい表現能力を持っている人が優れた音楽をやっているから洗脳される、ということに感銘を受けます。

 

この三つのコードですが、
Dm7/G=フローティングドミナントコード
G7(b9)=マイナーキーのドミナント7th
Gb7=裏ドミナントコード(解決するコードの半音上の属七和音)
という感じで、最初はなかなかなじめないかもしれませんが、そういうもんだと思って使ってみながら、その雰囲気を体に入れて覚えていくと良いでしょう(まあ、それが洗脳なのですが笑)。

 

ちなみに、ダメ押しで、どんな感じで覚えていけば、良いかということを考えてみますと、

Dm7 |G7 |CM7 ||
これだけですと、
「はい、こうしてこうなりました。」的な「断定的文章感」だと思います。まずこれを感じてください。その流れが持つセンテンスの意味を。

そしてこれを、
Dm7 |Dm7/G |CM7 ||
とすると、ちょっと変わって、
「はい、こうしてみますとね、いかがでしょうか。」という少し優しい感じになり、断定口調が「和らいだ感じ」=音楽的印象、音楽的クオリアにならないでしょうか?感じ方はそれぞれですけどね。それを普段使う曲のリアレンジで音楽で使い分けるんです。

そして、
Dm7 |G7(b9) |CM7 ||
とすると、
「どうだい、こんなぐあいだよ、どうかな?」
というような、ちょっと「スタイリッシュな感じ」になるかと思います。まるでドラマのセリフ回しみたいな口調、一般では絶対言わないような。だから繊細でおしゃれな曲で使ったりしますね。ストーンズを演奏するときは使わないでしょう?

さらに
Dm7 |Db7 |CM7 ||
とすると、
「はい、そうそう、そうそう、そうなるよね。」
という感じで知らず知らず説得されるような流れ、といいましょうか。

 

     

 

 

次につながるコードとの兼ね合いでいろんな感情を自分に生み出させるよう訓練するんですね。

さらに、この曲の場合、最後の裏ドミナントが応用されていて、
|Dm7/G Gb7 ||FM7 |
となって展開部に入ります。

よくみると、Gb7がFM7の裏ドミナントになっています。つまり解決するのがCM7ではなく、FM7になっており、そこに結びつけるためのドミナントコードになっているんですね。

このかんじ、どんな印象を感じるでしょうか。
「そしたらさ、」
というような、次に向かいますよ感、が作られていると思います。これをもう少し細かく書くと、
|Dm7/G  G7 Gb7 ||FM7 |
となります。一拍ずつコードが変わる感じです。

こうしたコードは、音楽の旋律にはあまり関係がなく、装飾コードとされるもので、楽曲の楽想が豊かになり、説得力を増してくれます。こういうのを入れると鉄板の進行の強さに頼らず、自分のやりたいことが見えてきます。鉄板の進行は、まるで自動小銃を持って街を歩くような感じ、怖いもの知らずです。自分には何の力もないのに。世間に浸透している洗脳の力にあやかっているだけです。

微妙な表現ですが、鉄板の進行は無条件で人の心に入ってくるので、それを使うなら、ちゃんと「今自分はそれを使わなければならない状況か」を考えましょう。まあ、これ、今の自分自身に対して言っているんですが笑

 



何より
「雨は夜更け過ぎに、雪へと変わるだろう」
という歌詞に感動しませんか?

これ、隣にいた友人が言ったらどう思います?「あっそ?天気予報見たん?」
というだけの話じゃないですか笑

 

これ「歌詞世界の魔力」ですよね。呪文的な魅力というか、俳句的な抒情があるので、日本人にはしっくりきます。
「雨は真夜中に、雪へと変わるだろう」
でもなく
「雨は朝を待たず、雪へと変わるだろう」
でもなく

「夜更け過ぎ」

という日本語。今はあんまり使いません。

とても詩的で、音感もよく、ストーリーの始まりを表していますね。何より力を持っています。雨がみぞれっぽいのか、雨よりも光っているのか。

クリスマスに雪が降るってことは、今年はもしかして、だってクリスマスに雪だろ?

みたいな啓示ばかりのシーンですよね笑。いわゆる

b9thが乗りそうな感じ

でしょ笑。

 

まじか、雪かよ!!もう雪っぽいじゃん!!まじか寒過ぎ!明日電車止まる。東京死んだ。っていう感じでしょ実際は。そこをぐっと我慢して詩的に。

ムリ。フツー絶対そんな気なれない

ゆえに名曲。

大切なのは、この「夜更け過ぎ」という言葉が出た時に、

こりゃ鉄板進行の力に負けない歌詞だ!!!

と思えるかどうか。ですよね。コード進行の力より、この言葉の方がすごいから、全体のオリジナリティが勝つじゃないですか。

だって、もう「夜更け過ぎ」って僕らは歌詞で使えないですもんね。絶対パクったって思われちゃうぐらい強烈な日本語です。

著作権があるんじゃないか、とか思ってしまう笑。

 

そういう曲、言葉、アレンジに自分自身もぜひ出会いたいですね。

 

もし今年、クリスマスに雪が降ったら、素直に感動することにしますm(  )m。