音楽教室運営奮闘記

音楽と教育と経営の雑記ブログ~不定調性論からの展開

52, Introspecrion / Thelonious Monk (2017)

セロニアス・モンクの不定調性進行分析

52, Introspecrion / Thelonious Monk

   

 

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モンクが鍵盤の上に指を投げ捨てるように置く弾き方は、完全にピアノ演奏というエレガントさからは対極にあるものだけど、人々の「ジャズピアノ」の潜在意識の奥の方をひっくり返したと思います。

 

あ、こんな人もいるんだ、、

なに、このどんくさい弾き方、、

なに、この変な音楽、、、

なに、この衣装、、、

なんか親近感湧く、、、

これもありかな、、、

ちょっとこういうのもあるんだから俺だって!!、、

ちげー、むずかしー、、あのノリ出せねー、、

モンクちょっとクセあり過ぎ、、

この異質な感じクセになるな、、

やっぱりモンクだよ。このジャズが分かんなくっちゃ、、

モンクすげー、やべー、、

 

みたいな意識の流れってありませんでした?

意識していないだけで。明確に自分が感じているモンクの良さを、音楽的クオリア、という観点から既存の評論に囚われず言葉にしてみて下さい。うまく言えないかもしれませんし、チープな表現になるかもしれません。

不定調性論は、そのイメージの言語化や、模様化、表現の精密度を上げるようにトレーニングせよ、と言います。そうすれば、この曲のここは何調に転調して、裏コードを挟んで、突然転調して、、みたいな理解を通して曲を感じるのではなく、例えばこの曲なら、

・・・ちょっとオシャレだけど風変わりなアニメ。。

みたいに具体的な絵で感じることができれば、あとはそう感じた原因が、和音なのか、リズムなのか、タッチなのか感じればいいだけです。

あなたが弾いたら、絶対にあなたの色になるし、普通のII-Vを弾いたってモンクはモンクになりますよね。

 

ジャズの勉強と言って、モンクをちょっと変わった教材の一人、みたいに人の人生を捉えてしまうと「変わった人」で終わってしまいます。まあそれが昨今の教育のありようなのでみんながそういう印象を持つから何なのですが、一曲聴くにしても鮮やかに彼の人生を感じたり、今目の前で弾いている感じを創造したり、つまりイメージを教科書の言葉を超えて先に感じることが出来れば、僕らはもともと人類が「音楽を学ぼう!!」と思った最初の瞬間に、大学で教えていこう!と思った瞬間に立ち返れるように思うのです。

人から学ぶのではなく、自分で聴いて、自分の感覚が教えてくれたことを受け止めて、それでおしまい!でいいじゃないか、ということです。学校ではその他の人がどう感じたかを生れた順に順位をつけて覚えておくべきことの順を付けているだけで、それは試験のためです。

よくよくかんがえましょう。

     

Cm7 Db7(b5) |C7(b5) B7(b5) |

Bbm7 Eb7 |Eb7 AbM7 |
Bb7(b5) B7(b5) |G7(#5) B7(b5)   A7(b9)|

DM7 |DM7 Bm7 |

 

Cm7 Db7(b5) |C7(b5) B7(b5) |

Bbm7 Eb7 |Eb7 AbM7 |
Bb7(b5) B7(b5) |G7(#5) B7(b5)   A7(b9)|

DM7 |DM7 |

 

DbM7 |DM7 |DbM7 |DbM7 DM7 |

EbM7 |DM7 |DM7 DbM7 |B7(b5) |

Cm7 Db7(b5) |C7(b5) B7(b5) |

Bbm7 Eb7 |Eb7 AbM7 |
Bb7(b5) B7(b5) |G7(#5) B7(b5)   A7(b9)|

DM7 |DM7 |

     

DbM7 |DM7 |DbM7 |DbM7 |~solo

たとえばCm7からDb7への流れは、IIb7への進行と考えられるCフリジアン系のキーになります。そこからCm7の変化和音であるC7に向かい、パッシングディミニッシュであるBdim7という分析をすることができます。

でもこれは庭で拾った石に対して「これは花崗岩である」と述べるだけです。

 

不定調性論の考え方ではその石が鳥に見えて、それが飛んでいるところが見えて、その鳥のストーリーが作れる、わけです。そしてかつ、彼はその石を実際空に飛ばすことができます。

そういうふうに音楽を分析すると、自分の音楽観に役に立つ情報を得られるのでは??という試みなのです。

 

この曲の時折見られる五度進行には時代背景を感じさせます。

モンクの機能和声への許容範囲がかいま見られて興味深いです。この人はコルトレーンい理論を教えてますからね。そっち方面もかなりのツワモノです。


行ったり来たり、出たり入ったり、という単純な楽想が「Introspecrion」という表題の意味を感じさせます。
観察、自己内省。

そうか、これは自己内省している場面をアニメ化した曲だ・・・笑、

 

冒頭Cm7 Db7(b5) の部分で、メロディは後半二拍でDb7(b5)のb5音を使っています。

これが全てのヒントです。

例えば、

ド-レ-ミ-ファ-ソ~とメロディが流れるとき、普通なら、

C-Dm-Em-F-G

とハーモナイズするのが機能和声論の最も基本としました。でも誰もこうはハーモナイズすることはないでしょう。たとえば、

C-G/B-Am-FM7/A-Gsus4

とかですよね。これはそれぞれのメロディ音を持っているコードを用いているです。ではこれをもっと奇抜にすると。

B♭add9-A7sus4-G#7(b13)-G7-F#7(b9)

とハーモナイズするのがモード以降のやり方です。

どんなふうにハーモナイズしても音楽が作れる、ということをモンクらが打ち立ててしまったからですね。

 

あとはバップ的でないためにアドリブが大変です。



ただのビバップでさえ、アドリブが大変なのに、モンクなんて。。

とお考えかも知れません。

でもバップはパーカーのスタイルです。それを正しく真似られて楽しいですか?

それだけでいいのですか?あなたはバップの伝道者?

あなたのソロは?

と言われたら、どうでしょう。それまでにない新しいソロの形態を目指しますよね。

モンクもその一人です。

ここでの要点はこれです。もしある人がビ・バップを研究して追求していたとして、

今あなたが追及しているビ・バップ、一生かかりますよ?一生の時間をかけるとこ、そこで良いですか?

ということです。現代はアクセスできる情報が増えています。

だからみんなほとんどインターネットで調べられてしまうんです。だから誰も知らない情報を精査していくのとか、誰も持っていない技術を出していこうとか、本当に敷居が高くなります。でもそれも素晴らしいことです。

あなたが一つだけ追求する!としたら何を真ん中に置くか、それを定めていきましょう。