音楽教室運営奮闘記

音楽と教育と経営の雑記ブログ~不定調性論からの展開

ほぼ全曲ビートルズのコード進行不定調性考察「Let It Be」1(2017)

1 、アイ・ミー・マイン - I Me Mine

3/4 Am |% |D |% |
G |E7 |Am |% |
Am |% |D |% |
G |E7 |Am |% |

Dm |% |% |% |
Ddim7 |% |E7 |% |

Am |AmM7 |Am7 |Am6 |
FM7 |% |

4/4 A7 |% |% |% |
D7 |% |A7 |% |

   

後半のブルースロックな変化は、アビーロードで活用されるメドレー的なコンセプト、展開感の印象も受けます。

Am→Dの流れが洗練された響きになっていて良いですね。
これがAm→Dmでは、ちょっと失速しますものね。
Ddimの使用や、曲の中間部がFm7でリリースされて終わるのも、その印象をうまく用いていると思います。


2、レット・イット・ビー - Let It Be
機能和声ポップスの王道曲!I V |VI IV |~ではじまる代表曲ですね。
これぞビートルズ!

ピアノのイントロ、綺麗なメロディ、叙情的なコーラス、口ずさめるギターソロとダミ声のような音色、ポールの歌詞と歌声。全てがアンバランスなのに、こんなに励まされる曲はありません。曲のせい、もあるでしょうがあの演奏がやっぱりグッときます。

音楽に下手くそとか上手いとか関係ないんだ!!

なんて若者は感じたんです。散々音楽は英才教育じゃなきゃダメだ!みたいな風潮を作っておいて、彼らは全然不完全のまま完璧になってるじゃないか!!

早く発信すべきなんだ!!行動すべきなんだ!訴えなくっちゃ!!

みたいな、ことをあの演奏から感じ取っていた若者は今もたくさんいることでしょう。

ヒーローなんです。音楽がいいとか悪いとかじゃなくて。

ヒーロー映画が生まれる前のスクリーンに現れた本物のヒーローだったんです。

     

===

さてこの曲の不思議な明るすぎない感じ、なんだと思います?

この曲は完全にCメジャーキーではないんです。一カ所ビートルコードがあります。

もうご存知ですね。

間奏のラインです。
F  C  Bb  F  |  G   F  C      |
ここにBbという和音が出てきます。
Cのメジャーキーの中にない、ノンダイアトニックコードです。
なぜ、ここでBbが来て、自然なのか、考えたことありますか??

この曲のメロディですが、B音がありません。ないんです。Cメジャーペンタトニックスケールに一瞬だけF音が入ってきます。


つまりモードで言うと、


CアイオニアンとCミクソリディアンの共通六音で出来た音階なんですね。

導音なし。

 

だからCミクソリディアンのBb△というコードが出てきても大丈夫のような流れになっているんですね。


偶然なのか、不思議です。

 

で、C-G-Am~って進んでいきますよね。この曲の全てのGをGmにして弾いてみても、なんと全部しっくりくるんですね。B音がメロディにない為なんですね。

B音よりもBb音のほうが、なんかドラマチックだし、このBbはビートルコードですから、彼らにとってはトレードマークのVIIbですから自然です。この辺がスタイルと音楽と、やりたいことの全てが一致した素晴らしいバランスを保っている曲である理由だと思います。

 

また曲中は、これだけダイアトニックなのに、G-F-Cと終止し(変格終止)、F-G-C(正格終止)と終止するところがないところも興味深いです。

G-F-Cというのはアーメン終止にもつながる印象を与えます。

これがこの曲を清らかな感じにしているのでしょうか。

V-Iがないとか、もう日本の音楽教育よさようなら、という感じが痛快です。

 

「俺はこれがやりたいんだ」

を認知してあげられる先生がたくさん増えることを祈ります。

私は自分の能力が低かったのもありますが、20年ぐらい彷徨いました。いろんな先生に答えがあるんじゃないか、って。どこにもなかった(あったのかもしれないけどたまたま全部違ったのかも)。最後に戻ってきたのは、高校生の時に心に生まれた自分のスタイル。

だから若い方にはとにかく真剣に自分の道を見つけるよう言います。顔を見るたび言います笑。自分も散々言われていたのかもしれませんが、全くもって答えばかり探していたので。

 

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この曲、一か所だけあるミストーン(機能和声的に)も有名ですね。

学習の初期にある方は、見つけてみてください。

www.youtube.com

この動画でいうと3:00ーのAmで一瞬Fに流れています。テンションリゾルブみたいになっていて自然に処理されています。

これを良しとする人は、楽曲の流れでどんな印象がここで発生したかを知る人です。

「ためらい」とか「ため息」とか「くぐもり」みたいな印象を与えますよね。

これを表現として捉えればいいだけです。こうした発想を邪魔するのが知識です。

知識は容赦無く善悪を投げつけてきますから、経験値がないととても怖い存在です。