音楽教室運営奮闘記

音楽と教育と経営の雑記ブログ~不定調性論からの展開

ほぼ全曲ビートルズのコード進行不定調性考察「Magical Mystery Tour」3(2017)

6、ストロベリー・フィールズ・フォーエヴァー - Strawberry Fields Forever

   

歌い出しの部分です。
A |A |Em7 |Em7 |
F#7 |F#7 |D F#7 |2/4 F#7 |
6/8 D D/C# |4/4 A |
変拍子が凄いです。

まずコードが二小節に渡っている点からを考えてみましょう。
Aを二小節、Em7を二小節、F#7を二小節。
結構長いですよね。
どんなことが起きるように感じますか?

このような長い拍数での使用は、コードの機能が独立すると思うのです。
最初のAはトニック的だとしましょう。暫く1コードが長いと、機能や調の感覚から離脱し、モーダルな感じになってきます。

そのあとEm7が来ると、一瞬Vm7ぽいですよね、変化した瞬間は。

でもそれらがまた連続すると、どんどんまた機能感が剥離し、独立していくように感じられます。Vm7感がどんどんIm7感になっていきませんか?

 

そして、F#7が来た時には、Em7=Im7にしたII7感、またはEm7がDメジャーキーのIIm7で、F#7がそのIII7的な感じがする方もおられるかもしれません。

コードは長く鳴らせば、その響きが独立し、機能感や連鎖した印象をまた変えることができる、又はそう感じる人がおられる、ということですね。

機能和声論が絶対であれば「人によっては正しい機能を感じさせないから、コードが長らく変化しないのは不適切である」ということもできます。

しかしビートルズはそういうところで音楽をやっているわけではありません。

そうして新しい価値観を、「商業的価値による証明」という力技を使って「方法論」として確立してくれたわけです。それまでの音楽学習の先生方は当然気に入らなかったでしょうが、そんなこと50年経てばどうでも良くなります。

この辺の価値の変遷をどう捉えるか、で音楽的な感性も変わってくるでしょうし、創る音楽も変わってくるでしょう。「やっぱりこれはおかしい」と思えばより普遍的な響きを作るでしょうし、「こういうのカッコいい」と思えば、そうなるでしょう。

その辺は誰も統制などできようがないのです。

その大きな価値観の波にどう乗るかはあなた次第であり、どのように乗っても批判されるものではないし、同じように感げる人がどこかにいます。おなじ価値観の人とのみ、人間は共有できるわけです。それだけにすぎません。


ジョンがこうしたことを意識していたかどうかは問題ではありません。

そう感じることでそれを「自分の用法」として咀嚼し、どんどん自分なりに活用すればよいのだと思います。

 

ちょっと試してみましょう。
例;
CM7 |% |Dm7 |% |BbM7 |% |FM7 |% |
Em7 |% |F#7 |% |Bm7 |% |Am7 |D7 :|
不思議な感じだと思います。
"言い出せない男"みたいななんとも、あっちへふらふら、こっちへふらふら。という感じです。そういう印象が先にできたら、アルバム曲などで導入してみてください。音楽的な先進性をアルバム文化に求める方は是非、そうした音楽的挑戦に向かっていただきたいです。

     

7、ペニー・レイン - Penny Lane
このアルバムの頃は、凄く転調に対する意識が高まっているような感じがします。この曲も激しい転調をスムーズに行っています。
マジカルミステリーツアーあたりから起きたこの雰囲気の変化は、当時の彼らの作曲技法マイブームだったのでしょうか?

歌い出しの部分~です。
B |C#m7 F#7 |B |Bm7 |
G#m7(b5) |GM7 |F#7sus4 F#7 |F#7sus4 F#7 |
B |C#m7 F#7 |B |Bm7 |
G#m7(b5) |G |F#7sus4 F#7 |E |
サビ
A |A |D |D |
A |A |D |F#7 |~

一段目のB→Bm7のトニック転調はポールの得意技。

そこから新しいコードとも云えましょう、G#m7(b5)→GM7の展開です。
このコードの流れは、ギターだと、ベ-ス音が下がるだけなんです。
G#m7(b5)=G#,B,D,F#
GM7=G,B,D,F#
でG#→G音の移動があるだけで、簡単に演奏ができます。

それでもこの憂いを持った進行感は、私などは「ペニーレインのあれ」で通じます。スタンダードジャズなどにも出てきますが、ポピュラーでどのように使い、どんな雰囲気を作れば良いか、をビートルズも示してくれています。こうした和声変化を不定調性論では、動進行と静進行という考え方で分類します。

 

これがまた半音でF#7sus4に降りてくるところがビートルコードですね。和音の機能ではなく、響きの流れ、指の流れから現れる音楽的作用をストレートに使う、ということを理解して活用しちゃいましょう。理論的な事やその正当性は「不定調性論」で補いますので。皆さんはどんどん実践あるのみでございます。

これがビートルズが作りあげた新しい商業音楽的進行であり、不定調性進行~様々なジャズ的転調のポピュラー的認知につながります。


これでそのままサビに行かず、F#からVIIb感を持つEに一端行き、がらりと変えてこのEを続くAメジャーキーのV7の印象を作ります。弾いてみて体感してください。

 

そしてサビに行き、今度はIVであるDから、VI7であるF#7に行ったん変化をつけて、このF#7をBメジャーキーのV7にしてしまうんですね。

ドミナント感という誰でもなじみのある進行感をベースに、ジグソーパズルでも作るかのようなコード進行がポップに使われているビートルスの進行、そのエッセンスやアイデアだけでもぜひ自分のものにしちゃってください。

単純に"知っているコードをどの程度自由につなげて、音楽的脈絡を作れるか"という問題です。