音楽教室運営奮闘記

音楽と教育と経営の雑記ブログ~不定調性論からの展開

132,Teenage Riot / Sonic Youthのコード進行分析

オルタナ系のコード進行は、「わけわかんない系のカッコ良さ」で済まされることが多いようなので、不定調性論で一度だけソニックユースやらせてください。

   


「型にはまらない」というのは、決して実験性が高い、とかトリッキーなのではなく、単純に自分らしくやってるだけ。それを「トリッキー」と表現するのは、実は差別的な意味を含んでいると言わざるを得ない。大多数の人がしない事をする人は少数派。少数派はちょっと変わった人が多い。

とかそういうニュアンスだけでそれらの表現を赦してしまっているように思えます。

アインシュタインだって少数派ですよ?誰もそれまであんなこと考えた人いないんですから。

じゃあイキがっている少数派と天才は何が違うの?

そんなこと歴史が過ぎてみなければ分からないでしょ?

もしそれを自分が望むなら、それはあなたにとってのノーマルなのだから、他のノイズを気にせず突き進むだけです。その代り自己の鍛錬を怠らないように!ですね。

 

Teenage Riot
<TAB>

www.guitaretab.com


「変則チューニングは異質、邪道だ」と自分で極める前から心の奥底で自然と決めてしまうと、とてももったいないです。ちょっとチューニング変えるだけで、いつもと同じ押さえ方で全く違う響きが出るんですから。せめてその可能性だけでも頭のどこかに入れておいてください。

 

この曲冒頭は、
D5 C5|G5 C5 |を繰り返します。コードはだいたいです。このリピート感が「焦燥」や「停滞」「圧迫」の音楽的クオリアをしっかり発信しています。

何らかのこうしたイメージ(自分にとってのイメージで良い)が明確であれば、その音楽はその聴き手にとって明確に魅力を持つと思います。それがなんであるか説明できなくても良いと思います。そもそも音楽は振動現象の結果であり、振動現象のルーツは素粒子に何でさかのぼります。人間はおそらく覚えていないのでしょう。

でも体はその振動現象に情感として反応します。なぜでしょう。

分からなくていいと思います。

問題は何が「いいか」です。あなたにとって。

   

ボーカルはそれらの響きに感応するように、歌います。協和するようにではありません。感応すればいいんです。例え不協和であっても。これはその響きが作る何らかのメッセージに感応してる歌い方ですよね。こういうところが才能の分かれ目だと思うのですが。


2:00~前後からのアップテンポの独特の疾走感も、「自由だけど、なにすればいいか分かってるけど、いったいこれ、どこに行くんだ?感」はまさに僕らの80年代の裏側、ですよね笑。幸福の上での葛藤、があったものです。


ここではGメジャーの基調もありますが、それに霧でもかけるようにGsus4が同時に響きます。
ジャズがGsus4にM3rdを(又はその逆も)乗せようとした理知的な試みとは正反対の、混沌と迷いをポップに表現するための不協和が見事です。

ボーカルのメロディも9th、11thあたりを行き来して3rdをただの経由音として使うような感じが良いのです。「当たるところを探っていたらそこに辿り着いた」のでしょうか。

 

C△において、d,f,aなどをメロディに使うのは、C.パーカーがバップで試した、みたいなことは以前(元は旧ブログ)書きましたが、不協和音に感応した結果出てくるメロディ、コードトーンを重視しないという感じで作られる、という点が面白いです。

 

音楽性でいえば「オルタナ」というより、これは単純にロックだと思います。「ソニックユースのロック」であり、ジャンルでくくっても仕方がないでしょう。

 

少しずつメロディと構造が固まっていきます。
G |Gsus4 G |G |Gsus4 G |

D5(11) |G5,6(またはD5/G) |
というようなかんじでしょうか。

D5(11)、G5.6というのは、あくまでベースと響いている音の感じで取っています。
たしかに最後はGで終わってますから、この曲はGメジャーキーで、IとVをただ繰り返すだけだ、思われたら、「単純すぎる」と評価されないかもしれません。

でもこれモードですよね。Gアイオニアンモードの曲だと思います。
モードの曲は、
・その主和音とモード音を提示すること
・機能和声を用いないこと
等ですから、見事に合致します。D7なんぞ意図的に用いられていないし、ブルーノートみたいな音も目立ちません。
オルタナのこうした「モードロック」という側面は、もっとジャズやロックの教材でクロスオーバーの例として取り上げられても良いのではないでしょうか(もし、そんなにセオリーでの評価付けが大事なら)。

 

あとやっぱりドラムのビートがスウィング出はなくて、8ビートである、ことも重要かと思います。
モードジャズは「停滞」が主な雰囲気でしたが、モードロックは

「迷える疾走」

という感じに具体化されているではないですか。これは一つのモードの雰囲気(コード進行の展開のない感じ)がこうしたイメージをさせるからだと感じます。

題名;Teenage Riot

「10代の暴挙」

まさにしっかり題名に全てが体現されていますね。



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