音楽教室運営奮闘記

音楽と教育と経営の雑記ブログ~不定調性論からの展開

99, The Sixteen Men Of Tain(音楽鑑賞機能の発展した姿の事例として)

アラン・ホールズワースの紹介ページは下記もご参考ください。

www.terrax.site

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今日のお題はこちら。

The Sixteen Men Of Tain

www.youtube.com

 

   

<コード進行>

(3/4)Cadd9/F C5/E |(4/4)Bbadd9/D |% |% |×3
(3/4)Cadd9/F Cadd9/E |(4/4)Dadd9/F# |% |% |
Gm7(11) |% |GbM7(#11,13) |% |
DM7(#11,13) |% |Dm7(11) |Bm7(9) |
C69 |Dm7 |

(3/4)Cadd9/F C5/E |(4/4)Bbadd9/D |% |% |×3
(3/4)Cadd9/F Cadd9/E |(4/4)Dadd9/F# |% |% |

(3/4)A Bm/A |C#m/A A |Asus4(9) |D/A |
A Bm/A |C#m/A A7 |Bb5/F |C/F |
G Am/G |Bm/G G |G7(9) |G6 |C69 D69 |Bb69 |
(4/4)DbM7(#11) |% |

 

巷間の楽譜などを参考にさせていただきました。1コーラスです。

綺麗なコード進行です。ホールズワース語だと辟易せず、この和音の連鎖をご自身の押さえ方にして弾いてみてください。

ホールズワースサウンドはその大きな手を活用したヴォイシングにあり、かつジャズの慣習からは孤立した、新たな「伝統的ジャズとは異なる音楽」の象徴のような音楽ジャンルを作ってしまいました。

得体の知れないものでも自分が信じるものを作っていいんだよ、と教えてくれたわけです泣。

 

同曲のコーラスは、変拍子で、かつポリリズムのような旋律を内在させているので、聴いている感じ以上に凝っています。

 

それらを複合して感じるのは難しいと思いますので、僭越ながら全て4/4にして、コードの輪郭を下記のように並べてみました。これはあくまで私が理解しやすくしたいからです。

Cadd9 |B♭add9 |% |
Cadd9 |B♭add9 |% |
Cadd9 |B♭add9 |% |
Cadd9 |Dadd9 |% |
Gm7 |% |G♭M7(#11) |% |
DM7(#11) |% |Dm7(11) |Bm7 |
C |Dm7 |

Cadd9 |B♭add9 |% |
Cadd9 |B♭add9 |% |
Cadd9 |B♭add9 |% |
Cadd9 |Dadd9 |% |

A Bm7/A |C#m7/A A |Asus4 |D/A |
A Bm7/A |C#m7/A A7 |Bb/F |C/F |
G Am7/G |Bm7/G G |G7(9) |G6 |C69 D69 |Bb69 |
DbM7(#11) |% |

 

 

4/4にしたことにより、タイム感のバランスを取るため少しアレンジしました。
これにより「サウンドのあらすじ」が見えてくると思います。
これを皆さん、歌モノのバックの伴奏だと思ってストロークや8ビートで弾いてみてください。

     

なんか変な感じ、を皆様それぞれ持たれると思います。
「このコード違う感」
「こっからここへは自分なら行かない感」
「このコードいらない感」
ひとりひとり人の感性はいろいろな雑多な音情報を、感情やフォルムに意識の中で変換していくと思います。

 

そういったことがわかれば、ホールズワース楽曲との距離が見えてくると思います。

現代音楽だって同じことです。作者が何を言おうとしているか考えるのではなく、それ以上にあなたが何を感じているか、その感じたものを自分にどう栄養にするか、そういうふうに考えないと、人はアートで生活を楽しむことなどできるわけがないと思います。その次の次元まで行って、人類はさらにアートから科学技術を導き出せるようになるのではないでしょうか。

 

まださすがに音楽を聴いて、難病を治すとか数学の難問を音楽が解くとかという意識までは進化していないでしょうが、これから必ずそういうふうになっていくと思います。

 

===

独善的にまずビジュアルな感じで読解してみましょう。


Cadd9 |B♭add9 |% |
Cadd9 |B♭add9 |% |
Cadd9 |B♭add9 |% |
Cadd9 |Dadd9 |% |


この部分は、主要出演者の名前が四人ばーんと出る感じ。


Gm7 |% |G♭M7(#11) |% |
DM7(#11) |% |Dm7(11) |Bm7 |
C |Dm7 | 


これが映画でいうと、前説。

Cadd9 |B♭add9 |% |
Cadd9 |B♭add9 |% |
Cadd9 |B♭add9 |% |
Cadd9 |Dadd9 |% |


そしてまた次なる共演者のテロップ。次第にあらわになる全容。

A Bm7/A |C#m7/A A |Asus4 |D/A |
A Bm7/A |C#m7/A A7 |Bb/F |C/F |
G Am7/G |Bm7/G G |G7(9) |G6 |C69 D69 |Bb69 |
DbM7(#11) |% |


そしてこれは映画でいうカット割りによる予告編みたいなものを観せられてる感があります。

 

音楽の抽象性を理解する方法については、M-Bankのスティービー・ワンダーの研究レポートをご覧ください。多分「非視覚的」なイメージングによるとこれに近いので、これができればホールズワースの曲も見えてきます。

 

この思考過程は、ジャズのスタンダードの原曲を覚えて、高速でバップ化された曲を聞くのと同じです。OLEOのような曲を高速で演奏された場合、その構造を頭の中で同時進行で流せる人だけがこうした演奏を鑑賞できる楽しみを知ります。

ミュージシャンのための音楽かもしれません。プロ野球選手の食事、とか、力士の食事とか、とにかく専門職の人のための食事、という感じもあります(もちろん普通に食べて良いものだと思います)。

本来はこれをもっと音楽でない分野にまで発展させる柔軟な姿勢が音楽家に与えられるべきであると思います。

音楽をやっているが、音楽ではない音楽行動がある

ということもきっといずれ科学が作り出していくでしょう。ホールズワースがやっていることもそういうことのように感じるのですが、どうなのでしょう。まるで夢を整理する脳の未知の働きのようです。

 

===
チック・コリアの「枯葉」が「枯葉」であるのは、原曲の「枯葉」が存在しているからであり、いきなり演奏途中の3:00頃から聴いたら、はたしてそれが「枯葉」であるかどうかがわからない、というようなことに似ています。

www.youtube.com


ドラムがリズムインしたところから、当然テーマを追えるので聴いてみてください。これが追える人は、原曲概念バッチリです。
同曲については、日本音楽理論研究会で2013年に発表もしています。

Society for Music Theory of Japan

その際、島岡譲先生は「ジャズのアレンジはその全てがまるで違うが、すべてが繋がっている変奏曲のように感じました」とおっしゃられたのが印象に残っています。音楽全体が音楽家による変奏曲なのだ、と教えられたのを記憶しています。

 


Allan Holdsworth - Norwegian Wood(1996)

ジャズのテーマとは港である、とA.コールマンが述べたその感覚で、尺だけを揃え、テーマがあるがゆえに内部はどこまでも自在に展開していきます。

ホールズワースの音楽は、"ジャズという原曲"があって、それらが崩されて、新たな形式になった音楽が持つ自在性を持った形式を「原曲」として、さらにそれをアレンジして、自分の好きなサウンドにして展開して出来上がっているので、すごくなんかそれこそお酒みたいな味わい笑、です。

 

それ、原曲ないじゃん、、、

まあ、そういうことです。「原曲概念」を理解しているジャズ好きな人の耳には、ちょっと奇異だけどその存在を認められる、不思議なブランド、というところでしょうか。
彼のスピードフィンガリングは、それを支える武器でしかなく(イヤイヤコレガスゴスギルケド)、彼の真骨頂はその作編曲能力にあるのではないでしょうか。

 

彼自身お酒に縁があって、醸造関係での仕事経験もあり、お酒も大好きでビール器具の特許も持っている彼ならではの。

「錫箔の16人」はスコッチ醸造のスペシャルスタッフを指す言葉だそうで、それを音楽生成の伝説の16人に掛けて、このアルバムでも自分だけの世界を構築しています。

理解する、というより、ホールズワースという人の、なんかすごい独り言を聞かされているような感じでもありますが笑、長く歴史に名前を残すミュージシャンであろうことは間違いありませんし、コード進行や作曲物の可能性(それを演奏する楽器も!)もお陰様で限界まで広がりましたね!!

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