音楽教室運営奮闘記

音楽と教育と経営の雑記ブログ~不定調性論からの展開

123."Nevermind" 2 / Nirvana

その1はこちら

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2曲目 "In Bloom"
パターン1
Bb G |F Ab |
パターン2
Bb Gb |Eb B A |
パターン3
Bb G |~C Eb |
これも長三和音にしても良いですが、三度を抜いたほうが正確に再現できるのではないでしょうか。

   

地平がグニャグニャと動くような感じは、まるでパニック障害時に起きる足下の感覚です。これも調的に考える事ができますが、そういう事よりも、指が動くままに出てくる印象の変化を何度も繰り返す事によって生まれてくる「心象」から音楽を感じたほうが少なくとも私はリアルな必然性のようなものを感じます。

 

不定調性論は、こうした単純和声の変化感をどのようなコードに流れても組み込める事を体系化しました。実例としてのニルヴァーナは有効です。


和声進行が持つ「退廃感」をカートが感じ、メロディを乗せた、のであれば、彼はきっと『和声の流れの中に退廃感を出すコトができる』ということを発見した功績が、音楽理論のポピュラー文化の発展に寄与している、という点で異彩を放っているわけです。
「音で具現化」し商業的に成功を収めた、という点がロックの歴史上にも功績が大きいと思います。

 

パターン2のBb Gb |Eb B A |のB-A→Bbなんて云う流れは、ぐんにゃりと歪んでけだるそうな心の流れを反映しているようで、とても秀逸だと思いますし、参考になると思うのです。
Bbm7 GbM7 |Ebm7 BM7 Adim7 |
とすれば、これをもう少しお洒落にした心象表現になるでしょう。これはニルヴァーナのこの曲からインスパイアされた表現だ、といえば、この曲の進行が持つ心象の豊かさが分かるのではないでしょうか。これは個人で感じて頂くしかないのですが。

全ての和声の流れには進行感があります。例えば、

1.半音+全音~
|C△ C#△|D#△ E△ |
2.全音+短三度~
|C△ D△|F△ G△ |
3.短三度+完全四度~
|C△ D#△|A#△ C#△ |

などなど、連鎖される和声の連鎖感を活用して、音楽的脈絡を作っていきます。

 

ここでも短三度の移動が「雰囲気」を出していますよね。
これはリフに五度をのせただけの音楽と云えるかもしれませんが、この徹底ぶりがアルバム全体に不思議な統一性をもたらしています。

 

3曲目"Come as You Are"
パターン1
E |D |
パターン2
Esus4 |G |

三度を意識させないペンタトニックな旋律作りになっています。
パターン2でsus4がでていますが、これはsus4を作っている、というよりも、
E A |G |という感じでリフも分解できます。この記事シリーズの最後に出てくる「弱いパワーコード」です。
E5の音からA5の音にアタックしている、という感じです。三度の響きを意図的に避けてる感じもします。まるで三度音が退廃さを和らげるのを避けるように。

彼も三度が入らない事でできる音楽性、というのを拡張できたミュージシャンでしょう。

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ようはパワーコードはメタルの重低音である、とか、三度抜きコードは空虚で無表情な五度和音、という二極的な価値観を完全に塗り替えて新しい価値観を確立させた、ともいえます。グランジをサウンドや歌詞だけでなく、その雰囲気の奥底まで埋めつくしたグランジ。

 

4曲目"Breed"
パターン1
F#7のリフ
パターン2
D A |C B |
これだけです。。

リフものですから、これだけ見ても、この音楽性に「深み」を感じるのは最初は難しいかもしれませんね。この深みをカートは自分の死で証明してしまった、とでも云えば良いのでしょうか。

通常D→A→Cときたら次はGだろ、と思うじゃありませんか。このほうがキャッチーだし。

しかしあえてそこは不安定なBにおりる、というのがここまで述べてきた退廃さの表現であり、意識をカンナで削っていくような焦燥感になっていくわけですね。

旧ブログで取り上げた"たま"のコード進行にも同じような皮肉や、退廃さもあるのですが、どこか傍観者的な視点なので、カートの切実さとは違う独特の「不思議感」があります。
でも使っているコード的な考え方は同じです。

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ロックの「何でも良い」というのは、"本当に自分が感じたままをありのまま出せるか"、という命題が背景にあるんですね。

その3に続く

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