作曲や編曲の面からDTMのトランスポーズを使った「ネガティブハーモニー的」な発想の展開を考えます。
こちらみて頂ければわかります。
前回までの記事の先の話です。
DP9を使います(2019時はDP10になっています)。
DTMのトランスポーズ機能。
キーを変えたり、モードを指定したり、自分でモードを作ったり。
さらには今回の動画のように、一音一音指定したりもできます。それを利用して、写像が面倒なネガティブハーモニーの音程展開を少し乱暴に応用してみよう、というわけです。
浜辺の歌のmidiは下記のサイトのデータをお借りいたしました。
どんなアレンジにも耐えうる素晴らしいデータでした。
日本の歌・世界の歌・童謡・民謡・わらべうた MIDI(フリー素材) >> ラインムジーク
私はネガティブハーモニーの発想は、不定調性論における「マザーメロディ」のような状態に似ているな、と思いました。拙論の説明は良いとして、つまり、
「いかに作者が予想のつかない状態を引き起こして、それを自在に作品にできるか」
という制作手順を含む表現方法です。
このトランスポーズの機能がない場合は、一日かけて反転してみたけど、望むものではなかった、という時に「サンクコスト効果」が働いてしまうと厄介です。
つまりあまり良いものではないけど、せっかく一日かけて反転したのだから、このまま頑張って作って価値を添えよう、と思った時、成し遂げるだけの強い意欲が必要です。
本当はそういう表現活動の過酷さを知っても良いのですが、ここではあえてDAWを使っっています。あとは皆さんでご判断ください。
動画をご覧いただくとわかりますように、写像のパターンを変えていくと、どんどん自由になっていきます。
Iアイオニアン↔︎IVフリジアンという構図は絶対に崩れないので、微細に雰囲気を変えたければ、元々の浜辺の歌のメロディをリディアンにするとか、ミクソリディアンb6にする、などのモードチェンジを行うことで、音階的な変化を反転させてコントロールすることもできるでしょう。
または動画でやっている通り、写像の配列・規則を変えます。
これは不定調性論のフィールドになります。
当然ネガティブ・ハーモニーの概念を飛び越え、よりミラーハーモニーに近くなります。
ネガティブ・ハーモニーはアイオニアンとフリジアンを変換する限定的な方法論
モードの変換が1:1になってしまい、変化をつけたくても色彩感がひっくり返った時、全て似通ってしまう、という状況も起きます。
それであれば「明るい曲を短調で歌う」みたいな話といずれ同列になっていきます。1:1の作業だと分かってしまったら、扱い手の能力はあまり関係ないからです。
むしろ、こういうことはAIがどんどんやって行くべきではないか、と感じます。
あとは出来上がった作品をアレンジャーが、自在にいじっていい、とする方法論があれば、様々なバリエーションが生まれるでしょう。
私には不定調性論がありますので、拙論の「ベルトチェンジ」のような考え方で、動画後半はトランスポーズしてみました(音の配置はいじってはいません)。
結果どんなアレンジになっても、私は「情景」を感じました。
自分の意思が介在していないぶん、しっくりこない面もあります。
また自分が作ることのなさそうなメロディ展開に困惑したりもしました。
同時に予測も音形に面白さも感じました。
皆さん一人一人はきっと他の魅力を感じることと思いますので、各位で位置付けを決めてください。
参考
Symmetry as a Compositional Determinant: reflection
勝手に独自な解釈で既に進めている笑
他にも色々関連記事を書いています。
参考