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音楽と教育と経営の雑記ブログ~不定調性論からの展開

One Note Samba(旋律という存在について考える)

82, One Note Samba

〜旋律という存在について考える

アントニオ・カルロス・ジョビンの不定調性進行分析

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主要コード進行です。

Bm7 |Bb7 |Am7(11) |Ab7(b5) |
Bm7 |Bb7 |Am7(11) |Ab7(b5) |
Dm7(11) |Db7(b5) |CM7 |F(9) |
Bm7 Bb7 |Am7(11) D7(9) |Ab7(b5) |G6 |

Cm7 |F7 |BbM7 Eb7 |BbM7 Eb7 |
Bbm7 |Eb7 |AbM7 Db7 |Am7 D7 |

Bm7 |Bb7 |Am7(11) |Ab7(b5) |
Bm7 |Bb7 |Am7(11) |Ab7(b5) ||
Dm7(11) |Db7(b5) |CM7 |F(9) |
Bb7(13) |A7 |AbM7 |GbM7 |

 アントニオ・カルロス・ジョビン one note samba(amazonに飛びます)

この曲は、曲名のとおり、メロディを主要な一音で固定する、というコンセプトで構成されています。

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和音は低音に重心がある、と初期学習します。
様々な科学的な解説も相まって、そのように考えるのが妥当である、と理解されていると思います。

でもそれならば、なぜメロディは高音にあるのでしょう。高音のメロディを主旋律、と聴く耳は、一体どのような働きをしているのでしょう。理解の仕方は様々でしょう。こうした脳の働きの全容もいずれ解明されるでしょう。

 

同曲はトップの音に意識を集中させることで、低音安定の原理がひっくり返った、いわゆる「高音安定」とも思えるような意識の状態を作ってくれます。

同曲が示すこの気づきを、教科書に落とし込まなければ、いつまでもこの曲が示している音楽的発想の拡張可能性を具体的に提示することができません。

 

不定調性論では、低音の安定の概念と、高音の安定の概念の二極の中心を設けました。こうすることで、ベースラインの音楽、主旋律の音楽、内声の音楽それぞれの重要性を改めて考えることができます。

     

■例えば和音の転回形。

基音が低音になくても和音は成り立つ、極めて当たり前ですが、これは転回形が持つ和音の表情の違いの存在を明確にしてくれます。

|:C G/B |Bb Bb/A |Ab Eb/G |Dm7 G7 :|

といった進行に美しさを感じる人は、転回形の和音が、"転回"ではなく、その構造が独自に持つ和音の美しさを理解している、ということです(詳細は教材)。

 

これで音楽心情的には、

G/B≠(ヒトシクナイ)G
bがこの和音の中心となった新たな和音。

である、ということを確認するわけです。

でもこれだと和音分別が音楽理論生成以前の状態に戻ってしまいますから、構造論としてのG/B=Gと同時に、情動的にはG/B≠(ヒトシクナイ)Gという数式(?)を頭に入れておけば現代的思考ができるのではないか、というご提案です。

 

 

■ジャズにおいては、シンプルな旋律の下で、ベースラインが4ビートで経過音を伴い、自在に激しく動きますね。

それでも音楽は安定していると感じるでしょう。「躍動する安定」とでも表現しましょうか。

メロディがしっかり安定していれば、低音は激しく動いても"それはそれで音楽的効果を持つ"わけです。どちらかというと下方倍音列的な発想ですよね。ジャズのベースラインは。下方が蠢く美、です。


one note sambaはこの"メロディの安定"を感じさせる脳の感じ方を活用することで、複雑な転調構造を簡易に理解させ、さらにシークエンス的進行を活用することで、楽曲全体の転調構造もポップな感じに仕上げています。

 

頭を使ったので、最後にちょっと二極安定の構造を実体験しましょう。

ex.1
|:C B7(#9) |Bbm7(b5) A7(b13) |AbM7 Gm7(9) |F#m7(11) FM7 |E7(b13) Ebm7(b5,b13) |DM7 DbM7(#11) |Csus4 Bm7(11) |Bb7 Am7 |

これはコード一つ一つにメロディがc-d-e-f-g-a-b-c-c-b-a-g-f-e-d-cと付いたものです。
スラントライン、という理解をされている方もおられるでしょう。

 

ex.2
Dm7(11) Eb7 |C |(topをgに固定)

FM7 EbM7(#11) |CM7(13) |(topを固定)
ということを行うだけで、変わった終止進行を作ることができます。

音楽における、高音部の流れとは、低音部とはいったい何か、メロディって何だ、ベースラインて何だ、などと考えてみると、メロディもベースラインも内声もみな、それぞれの音域における"旋律"である、ということがわかります。ラファロのベースラインがなぜ美しいか、one note sambaのメロディは一音なのになぜ面白いか、内声のクリシェ進行がなぜ美しいか、などへの価値観や考え方が変わっていくのではないでしょうか。

One Note Sambaみたいな和声進行を不定調性進行と当ブログでは呼んでいます。
不定調性論とは?こちらから
専用の参考教材もあります。

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(このブログ記事は旧ブログから引越してきました。)

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